2019年・第200臨時国会
- 2019年11月21日
- 法務委員会
裁判所職員の「定員シフト」問題について、桜を見る会について
- 要約
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- 参院法務委員会で、裁判所職員の「定員シフト」について質問。 この間、東京や大阪といった繁忙な都市部の増員のため、地方の定員が削減されています。 5年間で約60名の定員が削減された九州では「朝の早出残業、昼休み勤務が増えた」など深刻です。 抜本増員に向けて、超党派で取り組みます。 21日の参院法務委員会では、桜を見る会についても質問。 法務省の推薦枠はこの6年間、毎年70人前後で推移しており、 大幅に増えたのは総理枠や自民党改選議員枠などの政治家による推薦枠だったことが確認できました。 引き続き追及していきます。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
初めに、桜を見る会について聞きます。
総理主催で各界の代表者、功労、功績があった方を招く公的行事で、総理枠千人、副総理など千人、自民党枠六千人など驚くべき事実が明らかになりました。
今年の法務省の推薦者数は六十九人だったと内閣府がこれは衆議院で答弁をされております。
推薦者の記録ですが、過去何年分残っておりますか、法務省。
○政府参考人(西山卓爾君) 平成二十六年度から平成三十一年度まで事実上現存してございます。
○山添拓君 保存期間三年なんですけれども、六年分残っていたということでありました。
各年の推薦者数、これ御紹介ください。
○政府参考人(西山卓爾君) お尋ねは平成二十六年度からということでございましたら、平成二十六年度から三十一年度まで順次人数を申し上げます。八十八名、七十名、七十四名、六十九名、七十六名、六十九名でございます。
○山添拓君 法務省の、法務省内の局長ですとか次官ですとかこういった、あるいは審議会の委員のメンバー、こういった方に加えて功労・功績者というのが招待されて、推薦をされていたと。ただ、毎年おおむね七十人前後ということなんですね。
各界功績者の推薦人数というのは、内閣府から指定されておりましたか。
○政府参考人(西山卓爾君) 指定されてございます。
○山添拓君 これは五十人ということなんですね。
全体が一万八千人にまで膨れ上がっていたのに比べますと、この人数というのはごく限られたものだと思います。しかも、安倍政権の六年間でも、凸凹ありますけれども、大して変化はないんですね。要するに、増えたのは総理枠や自民党枠など政治家の分だということです。
二〇一六年から招待者名簿の記入要領が変わり、次のようにあります。今年度より招待者数の大幅見直しが行われた関係で、御推薦枠につきましては遵守願いますと。
法務省に伺いますが、この年は、これ全体として推薦者を減らすように、こういう指示があったんですか。
○政府参考人(西山卓爾君) 把握しておりません。
○山添拓君 法務省としては把握していないということでありましたが、警備の強化が必要となり、招待者数を減らす、減らそうとしていたと、こう報道がされております。ところが、実際には参加者は膨れ上がっているんですね。これは、つまり政治家の分だと。
そこで、大臣に伺います。大臣は、二〇一二年十二月から一四年九月まで少子化対策担当大臣などを歴任されました。大臣時代、大臣の特別枠というのはありましたか。何人でしたか。
○国務大臣(森まさこ君) 私自身、大臣の特別枠というのは承知しておりません。
○山添拓君 推薦はされたことありますか。
○国務大臣(森まさこ君) 常に、国会議員として党の参議院事務局の方から頼まれたときは推薦をしております。
○山添拓君 今年四月十三日の桜を見る会に出席された様子がフェイスブックにもアップされておりましたが、福島県からおいでになった皆様と一緒だったと、こうあります。
参議院の改選議員には特別の招待枠があったとされております。大臣も今年改選でありました。
特別枠も含めて今年は何人招待されたんでしょう、また、その中に大臣の後援会の方というのはいらっしゃったんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 特別枠というのは承知しておりませんが、四名推薦をするように言われて、四名推薦したと思います。
○山添拓君 後援会の方も招待されていますか。
○国務大臣(森まさこ君) 地域に貢献する方々を招待いたしました。
○山添拓君 参議院の自民党事務局の改選議員向けの案内状には、一般の方、友人、知人、後援会などを四組まで御招待いただけます、こう記されていたようなんですね。わざわざ一般の方とあるんですよ。
功労、功績のあった者を招く、こういう認識は、大臣、当時お持ちでしたか。
○国務大臣(森まさこ君) 私自身はその紙は見ておりませんけれども、この桜を見る会というものが貢献のあった人を招いてするものと認識しておりましたので、地域に貢献をする皆様を推薦いたしました。
○山添拓君 地域に具体的にどのような貢献のあった方なんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 地域の様々な活動に御貢献をなされている方々です。
○山添拓君 それでは全くはっきりしないと思うんですね。地域に様々な貢献って、それは大勢の方いらっしゃいますよ。
本当は、功労、功績のあった方というのは、法務省でいえば五十人という枠があるように、かなり厳しく各省に対して指定がされているんですね。ところが、大臣を始めとして議員の皆さんには、地域に功労、貢献、いや、それは確かにいろんな貢献はあるかもしれませんけれども、今具体的にお示しいただけないようなことをお話しになると。
まあ選挙対策も兼ねて、選挙の年は四組というお話ありましたので、これ無料で、無料の花見でおもてなしをすると。大臣を含めて自民党の皆さんはこれは完全に公私混同してきたということはもうはっきりしていると思うんですね。もう否定のしようがないことですよ。
大臣、ちなみにこのことについてどう認識をされておりますか。
○国務大臣(森まさこ君) 招待者の具体的なその内容についてお答えするとその個人名の特定につながってしまいますので、お答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。
○山添拓君 地域に貢献があった、功労、功績のある方なんですから、紹介するのはむしろ名誉なことじゃないですか。お話しいただくことが個人情報に触れるなどというのは、もはや通用しない話だと思うんですね。
もちろん、この問題の最大の責任は総理にあります。大臣を始め自民党の議員の皆さんもそれは大勢お招きされていたかもしれませんけれども、総理が最も最大の枠を使っていたということですから、その責任については引き続き追及しなければならないと思いますが、しかし、単純にそれだけの問題だとするわけにはいかない。議員の皆さんのそれぞれの見識も問われている、大臣を始めですね、そのことは指摘をさせていただきたいと思います。
そこで、次に裁判所の定員の問題で伺います。
我が党は、全国にあまねく充実した司法サービスを提供すべきだという立場から、一貫して裁判所職員の抜本的な増員を求めてきました。この委員会でも毎年請願が採択されているかと思います。
ところが、最高裁の来年度の概算要求は、増員要求と定員合理化の差引きで十五名の純減要求となっております。要求段階でのこの姿勢はにわかに信じ難いものです。
最高裁は、衆議院で、我が党の藤野保史議員に対し、減らすのは技能労務職員であって、裁判官や書記官、事務官は増員要求だと答弁しております。しかし、判事はいずれも判事補からの付け替えであって、裁判官としての頭数は変わりません。また、書記官や事務官の純増分はごく僅かです。
こうした下でどんな実態があるかと申しますと、資料をお配りしておりますが、これは二〇一七年から一八年にかけての推移ですが、例えば書記官でいいますと、東京高裁の管内ではプラス二十六人、大阪、プラス四人、名古屋、プラス六人などありますが、一方で、福岡ではマイナス十人、札幌、マイナス三人、高松、マイナス二人など。
最高裁に伺います。少なくとも、この数年、毎年のように地方部から都市部への人員シフトが行われている、こういう実態ありますね。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 裁判所も国の予算で運営される公的な機関でございますので、事件が減少傾向となっている裁判所から増加傾向となっている庁へのシフトを行う等、現有人員の有効活用という観点からそのようなことも行っておりまして、結果として、事件動向を踏まえまして地方の庁から都市部への庁へ人員をシフトすることはございます。ここ数年、そういった傾向はございます。
○山添拓君 最近五年で見ますと、例えば東京高裁管内では百六十人近く増えているんですが、福岡ではマイナス、福岡高裁の管内では六十人以上減っております。急速に人員シフトが進められているんですね。
福岡の職員に伺いますと、超勤が増えたと。その一方で、四月から上限規制が導入されましたので、朝の早出残業や昼休みに勤務することが多くなったと。就学前のお子さんを持つ方に認められている一時間の時短を返上せざるを得ないなど、現に影響も生じているということなんですね。
都市部で増員が必要だということは分かります。しかし、そうであれば、地方からシフトするのではなく、定員を確保して対応すべきだと思うんですね。人員を増やしてほしいという裁判所はあると思うんですが、減らしてほしいという裁判所というのは、これはないんじゃないですか。最高裁。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 人的体制の整備につきましては、最高裁におきまして、業務の質、量に見合った体制を整えるという観点から整備をさせていただいているところでございます。
○山添拓君 いや、具体的に、うちの裁判所は人が足りています、いや、むしろ余剰になっています、だから減らしてください、こういうふうに言ってくる裁判所はありますか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 減らしてくださいという形での話がストレートにあるかどうかは別として、事件の処理状況、繁忙度等についてはきめ細やかに現場と意見交換をしながら、体制整備を進めております。
○山添拓君 別とされてしまったんですけど、そんなところはないんですよね、そんなところはないと思うんですよ。それ、今否定もされませんでした。
なぜ減員の要求にまでなるのかと。これ、先ほど山下議員からも、裁判所や法務局が減っていく、これを憂えるという声がありましたが、決して自然に減ってきたものではないと思うんですね。政府の定員削減計画に最高裁が協力と称して応じている、それを余儀なくされている、そのために、合理化ありき、削減ありきとなっているからであります。
財務省に伺います。今年六月二十八日、来年度から五年間の定員合理化目標数についてと題する内閣人事局の局長通知が発せられ、各省庁に、今年までの五年間に続いて、更に五年で一〇%の削減を求めております。財務省は最高裁に対しても定員合理化計画に従って来年度の概算要求を行うよう求めたと、こういう事実はあるんですか。
○政府参考人(宇波弘貴君) お答え申し上げます。
最高裁判所がどのような定員要求を行うかということにつきましては、独立機関たる最高裁判所が独自に判断することでございますので、要求前に最高裁判所と財務省との間で調整を行っているということはございません。
○山添拓君 これは三権分立に反することですから、当然だと思うんですね。
そこで、最高裁に確認をいたします。現在の定員合理化計画の基になっているのは、二〇一四年の国家公務員の総人件費に関する基本方針であります。ここには、厳しい財政事情に鑑み、人件費の増加を抑制するとあります。しかし、司法サービスの提供というのは、国の財政事情に左右されるのではなく、万全の体制が取られるべきだと思います。これは、事は人権保障に関わっているからです。最高裁は、厳しい財政事情ゆえに定員削減ありき、これは許されないと考えますけれども、どのようにお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 裁判所は、御指摘もありましたとおり、行政機関ではございませんので、政府の定員合理化計画に直ちに拘束されるものではございません。しかし、前提とされている国家公務員の定員をめぐる情勢が厳しさを増す中で、裁判所としては、御指摘いただいたとおり、裁判部の充実強化を図っていくと、これは裁判所として考えていかなければいけないことであります。
その具体的な当てはめとして、政府からの協力依頼も踏まえて、国家の一機関として、他の行政官庁と同様に事務の効率化等必要な内部努力を行って定員合理化に協力することは必要であると考えておりまして、事務局部門に限って従前から定員の合理化に協力するとともに、裁判部門、判事、書記官といったところについては充実強化のための増員を要求させていただいているというところでございます。
○山添拓君 協力しているということはお認めになるんですよね。
しかし、事務部門に限ってとお話しでしたが、資料の二ページにお示しをしておりますように、簡易裁判所の二人庁、書記官、事務官が二名しかいないというところが三十五庁に上っております。これ、七年前は十七庁だったのが倍に増えているんですね。これはさすがに限界じゃないかと思うんですよ。やっぱり抜本的な増員に踏み出すべきだと考えますけれども、最高裁、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 適正な事件処理に向けて人的体制を整備することは、業務の質、量に見合った体制を整えるという観点から必要であると考えておりまして、先ほど申し上げたような現有人員の有効活用を検討しつつ、なお増員が必要であるという部分については毎年の増員の要求をさせていただいているところでございまして、本年度も判事、書記官等の増員をお願いしているところでございます。
○委員長(竹谷とし子君) お時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
○山添拓君 はい、もう終わりにします。
それだけでは現場がもうもたなくなっているという状況がありますので、是非、定員の抜本的な増員に向けて、国会の意思も反映させて取り組んでいただきたい、このことを述べまして質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。