2020年・第201通常国会
- 2020年4月13日
- 決算行政監視委員会
行政監視委員会で、新型コロナ対応での自粛要請に応じて休業する事業者への補償を求めて質問
- 要約
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- 行政監視委員会で、新型コロナ対応での自粛要請に応じて休業する事業者への補償を求めて質問。 すでに、千葉、神奈川、福岡など各県が休業補償を検討し、国の「地方創生臨時交付金」を財源にしたい旨を述べています。 内閣府は「制度の詳細を検討中」と。具体化すべきです。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
新型コロナの緊急経済対策について伺います。
政府が、緊急事態宣言の下で外出自粛の協力を要請しながら補償はしないという姿勢を続けていることに憤りが広がっております。自粛と補償はセットでという声を受けて、資料をお配りしておりますが、辛うじて盛り込まれた新たな給付金の制度、その一つが持続化給付金であります。しかし、その内容は名前に反して、持続化するには心もとないものになっていると言わざるを得ません。
まず、経産省に伺いますが、中堅・中小企業、個人事業主、これはどれぐらいの数をいうのかと、そのうち何事業者に給付する想定をされているのか、御説明ください。
○政府参考人(奈須野太君) お答え申し上げます。
実際に給付対象となる事業者の数については、今後の感染などの影響の状況によっても変わってくるとは思いますけれども、中堅・中小企業の法人と個人事業者それぞれが同数ずつ例えば受給した場合、最大百五十万者程度まで給付可能な予算額というふうになっております。
また、その母集団ということですけれども、我が国における事業者の数を示している統計というのは幾つかあるんですが、今回は売上げの減少を要件としているということもありまして、税務上の申告をなさっている方が数字としては最も近いものではないかと考えております。こういうことからすると、国税庁の税務統計というのがございまして、確定申告を行っていて事業収入の確認可能な会社などの普通法人が約二百七十五万者、それから個人での事業所得者は約三百七十三万者ということでございます。
○山添拓君 ありがとうございます。
内閣府の昨年の調査によると、フリーランスが推計最大三百四十一万人とされております。これは、本業がフリーランスという方が二百二十八万人、副業が百十二万人ということでもありました。
念のために伺いますけれども、この持続化給付金の対象というのは、副業としてフリーランスに従事している場合も、これも含まれるということですね。
○政府参考人(奈須野太君) そのとおりでございます。
○山添拓君 この間、全国の自治体が独自の支援策に乗り出しております。
資料の二ページを御覧ください。例えば、御殿場市は、バー、スナック、キャバレー、ナイトクラブなどに四月十六日から三十日まで休業を求め、一店舗百万円を上限に売上げを補償する仕組みを創設をしております。
この御殿場市がバーやキャバレーを対象とするのは理由があります。政府の特措法対策本部が示した基本的対処方針では、クラスター、感染者集団が多数発生している繁華街の接客を伴う飲食店等について強く外出を自粛するよう促すとしております。これ、十一日には対象を全国に広げております。政府が唯一名指しで利用の自粛を要請しているのがこの夜の繁華街であります。接客を伴う飲食店などというのは、専門家会議によりますと、バーやナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスなどとされております。
この自粛の呼びかけは、あくまで客に対するものです。しかし、客に行くなと求めれば、店には来客を期待するなということです。ですから、事実上、店に営業自粛を求めるものになっております。政府が自粛を求める業種については、少なくともこれは政府が補償するべきではないかと思いますが、いかがですか。
○大臣政務官(神田憲次君) お答え申し上げます。
先生お尋ねの点ですが、新型インフルエンザ等対策特別措置法における損失補償、この点におきましては、緊急措置の内容や強制力、それから対象者が被る不利益等を総合的に勘案して位置付けられているものでありますから、その全てに補償措置が位置付けられているわけではございません。
政府といたしましては、様々な事業活動の中で発生する民間事業者の個別の損失を直接補償することは困難と考えておるところでございますが、経済的に大きな打撃を受ける事業者が多く存在するということは事実でありますから、雇用や事業の継続を最優先に、あらゆる手だてを講じておるところでございます。
具体的には、売上高が前年同月比で半減している事業者、これは一部除かれる事業体もありますが、これらを対象とした持続化給付金の創設をいたしておりますし、政府系金融機関や民間金融機関による実質無利子無担保の融資を行っておるところでございます。
また、従業員を解雇せずに休業手当を支払う事業者を対象とした雇用調整助成金の拡充も行っておりますし、公共料金、社会保険料、国税、地方税の延納措置を講じておるところでありまして、事業継続に必要な資金の確保、それから、可能な限り支払の最小化に徹底的に取り組んでおるところでございます。
○山添拓君 私が申し上げたのは、名指しで法に基づいて自粛を求めている業種があるわけです。夜の繁華街クラスターを潰すためだと、こういうふうに言っているわけですね。そこについては、少なくともこれ自己責任はおかしいと思うんですよ。名指しでやっているわけですから、その部分については政府による補償を行うべきだと思います。
御殿場市の売上げ補填、あるいは東京都の協力金、これ全額ではないかもしれませんけれども、自粛要請に見合った補償、補填を行おうとしています。これは当然のことです。補償とどうしても言いたくないのであればこれ呼び方は何でもいいんですけれども、少なくとも国の要請には国が責任を持つべきだ、このことを重ねて申し上げておきたいと思います。
雇用者、労働者に対する独自の支援も広がっております。例えば茨城県は、雇用調整助成金の上乗せ、十分の九まで雇調金が出る、その残りの十分の一を県が独自に上乗せをする、こういう事業を始めようとする。あるいは、京丹後市、基準賃金額と雇用調整助成金の差額を助成する仕組みを始めております。自治体は、それぞれ地域の実情あるいは要望に応じて制度を考えておられるわけですね。観光、宿泊、飲食など、このままでは危機を脱したとしてもその後立ち直っていくことができない、そういう現実に日々直面しているわけです。
もちろん、私は、こういうこと、その前提として、もちろん政府が自ら自粛と補償はセットだと、こういう立場で当たっていくべきだと思いますし、自粛要請に対する直接、間接の損失を補償するべきだと。我が党は賃金収入八割補償するべきだと、これはイギリスやフランスもやっていることです、そう考えますけれども、同時に、自治体が独自に補償を進めていく、その補償策を国が妨げることがあってはならないということも言えると思うんです。
緊急経済対策には、先ほどもお話ありましたが、一兆円の臨時交付金が盛り込まれております。資料三枚目です。この交付金は、事業者への損失補償、あるいは今御紹介しました労働者に対する休業手当の上乗せ助成など、地域が独自に行う補償策にも充てることができるものですね。御答弁ください。
○大臣政務官(藤原崇君) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、新型コロナウイルス感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るため、地方公共団体が地域の実情に応じ、きめ細やかに事業を実施できるよう、財政支援をするものであります。
雇用の維持と事業の継続も含め、これは緊急経済対策の全ての事項についての対応として創設をするものでありますが、具体的に対象となる事業など制度の詳細については、現時点においては政府全体で検討をしているという状況であります。
○山添拓君 休業要請を行う千葉県、神奈川県、福岡県など、どこでも首長は交付金を財源にしたいと表明しています。これ、休業を求めるなら補償がセットで必要だからですよ。なぜ今の段階でできるというふうに明言されないんですか。
○大臣政務官(藤原崇君) 様々な声がある中で、現在詳細を詰めている段階であります。
○山添拓君 早急に詰めるとともに、これ、自治体が安心していろんな施策を進めていくことができるように、直ちに取り組んでいただきたいと思います。これ、国が足を引っ張るなどはもってのほかだということを指摘させていただきたいと思います。
自粛と補償がセットだと繰り返すのは、これ、憲法の要請でもあるからです。憲法二十九条の三項は、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」と、こう規定しております。これ、公共事業のための土地収用などで持ち出される条文ですが、しかし、その解釈としては、今回のように、飲食店などの営業が公共目的のために制限をされて売上げが減少する、こういう経済的損失の場合も含まれ得るだろうと思います。
時間がないので質問ができませんが、感染拡大の防止という、命と健康を守るための、公共目的のための権利の制限で経済的損失が生じる、こういう場合には正当な補償が必要だというのが憲法の要請だということを指摘をいたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。