2021年・第204通常国会
- 2021年1月28日
- 予算委員会
予算委員会で締めくくり総括質疑、第三次補正予算への反対討論を行いました
- 要約
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- DVや女性の自殺率が激増している現実を橋本男女共同参画大臣に質しました。国連が昨年3月に警笛をならしていたコロナ対策におけるジェンダー視点について、政府の対応に出遅れがあったことを明らかにし、コロナ前からのジェンダー不平等が背景にあることを指摘。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
コロナ禍での、特に女性の自殺者急増が午前中も話題になりました。
橋本大臣に伺いますが、国連は、昨年三月の段階で、各国のコロナ対策が女性を取り残したものとならないようにと警鐘を鳴らしていました。結果として政府の対策にジェンダーの視点が不十分だったと、そういう反省が必要なんじゃないでしょうか。
○国務大臣(橋本聖子君) お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症拡大によりまして、女性に対しての影響というのは大変深刻だというふうに受け止めております。
特に、非正規雇用労働者を中心に女性への雇用への影響というのが大変大きく影響を受けておりまして、昨年四月には女性の就業者数が前年月比で約七十万人減少しているというような状況であります。雇用者の中にはパート等のシフトが大幅に減少した女性も見られるなど、雇用、そして生活面で厳しい状況にあると認識しております。また、DVの相談件数が増加しているということ、女性の自殺者数が大幅に増加しているということを大変重く受け止めております。
こうした状況を踏まえまして、コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会から、自殺対策の強化等を内容とする緊急提言が出されました。その内容は、昨年の十二月の閣議決定した政府経済対策に反映され、第三次補正予算等の措置が行われたところであります。
コロナ禍で大変な思いをされている女性を誰一人取り残すことのないように、しっかりと対応していきたいと思っております。
○山添拓君 その研究会が発足したのはいつですか。
○国務大臣(橋本聖子君) 昨年の十一月に発足いたしました。
○山添拓君 貧困やケア労働で女性が多い、あるいは暴力の問題、いずれも国連が昨年春から既に指摘をしてきた問題であり、やはり出遅れは否めないと思うんですね。
橋本大臣、改めて伺いますが、DVや性暴力の相談件数やその内容、どのように変化をしていますか。
○国務大臣(橋本聖子君) 先ほど、一つ訂正させてください。コロナ下における女性の研究会、これは発足が昨年の九月で、十一月から開催しました。失礼いたしました。
DV、虐待等でありますけれども、DVの相談件数につきましては、全国の配偶者暴力相談支援センターと、昨年四月に内閣府が開設をいたしました新たな相談窓口であるDV相談プラス、これに寄せられた相談件数を合わせますと、令和二年四月から十二月まで十四・七万件、前年同期と比べて約一・五倍となっております。性犯罪、性暴力についても、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの令和二年四月から九月までの相談件数、これも二・三万件で、前年同期比では約一・二倍となっております。
○山添拓君 深刻な実態があるかと思うんですが、そういう中で、男女共同参画の視点からの委託調査が行われているかと思います。
昨年の緊急事態宣言前後に感じた不安やストレスについて、男女でどのような特徴があったでしょうか。
○国務大臣(橋本聖子君) 内閣府では、昨年十一月末から十二月初旬にかけて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響について男女共同参画の視点からの調査を行ったわけですが、緊急事態宣言中及びその後に感じた不安やストレスについては、全体として男性に比べて女性の方が不安を感じたとする割合が大変高くなっております。特に割合が高いものとしては、女性は仕事を失う不安、もう一つは家計の先行きについての不安があるということ、そういったことが割合が高くなっているという調査でありました。
○山添拓君 テレワークについてはどういう結果になっていますか。
○国務大臣(橋本聖子君) 今ほど申し上げた調査でありますけれども、全体的には女性の方がメリットを感じているという割合は少ない傾向にありました。一定の男女差がある項目に見てみますと、家事が増えるとの回答の男女差が最も大きく、女性の割合が高くなっておりまして、通勤時間分を有意義に使えるとの回答については男性の割合が高くなっているということであります。
更に分析をしていきたいというふうに思います。
○山添拓君 特に女性が気の休まる時間も場所もなく追い込まれているということだと思います。
生活苦と経済的不安の最大の要因が雇用であります。パートやアルバイトの女性、推計九十万人が休業手当を受け取っていないという調査が注目をされ、この委員会でも議論されてきました。総理は、これなぜだとお考えですか。
○国務大臣(田村憲久君) 休業支援金ですね、我々一生懸命広報させていただいているんですが、まだ十分に伝わっていないという点は反省いたしております。
私も年末、記者会見でお伝えさせていただいたり、また、それぞれ業界団体にもお願いさせていただいておりますし、地方労働局からは地域の経済界にもお願いをさせていただいております。その他、いろんな広報を使ってPRさせていただいておりますが、改めて皆様方に知っていただいてこの制度をお使いをいただければ有り難いというふうに思っております。
○山添拓君 この先ほどの野村総研の調査では、休業支援金知らないと答えた人も多かったわけですけれども、知っている人でも九割近くが申請していなかったと。これはなぜだとお考えですか。
○国務大臣(田村憲久君) 様々な理由はあると思うんですが、一つは、申請することに対して、その申請するためには一応事業主の方の御理解いただくということになっておりましたので、そういう意味で、事業者の方がそれを了承しない、特にシフトの場合には考え方の違いがありまして、今までの通例の年、月と比べて同じようなシフトで入るというものを、シフトはその月に入れるものだから、別に入ってないんだからそれは休業ではないというような認識が事業者の方々にあられるということは我々もお聞きしております。
そこで、それぞれ厚生労働省の方に、それぞれの出先の方にお伝えをいただければ、そちらの方からその企業の方に御連絡をさせていただいた上で、こういうものは休業に入りますよということをしっかりお伝えをさせていただいた上で、異論がなければそれに対して支給をするというような形、そういう形を今取らせていただいておりますので、是非とも、厚生労働省の窓口の方に是非ともお声掛けをいただければ有り難いというふうに思います。
○山添拓君 自分が申請の対象になるのか分からないと、あるいは申請方法が分からないという声も多くあるかと思います。ですから、これまでのやってきたことの延長ではなかなか届いていかないと思うんですね。
西村大臣は、SNSだとかネット広告で、若者に対して外出自粛をと、こういろいろ呼びかけてやっています。ですから、厚労大臣もいろんなツールを使ってあらゆる方法で発信するように、そうなさったらいかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 厚生労働省も、ツイッター、ホームページ等々でしっかりとお伝えをいたしておるようにいたしております。さらに、どういう方法、特に若い方々は、どちらかというとテレビよりもSNSをお使いになられるということがあると思います。生活保護等々のときにはたしかバナー広告だったと思いますけれども、いろんなものを使っております。ちょっといろんな知恵を出してみたいというふうに思います。
○山添拓君 一人親家庭が一層深刻です。労働政策研究・研修機構の十二月の調査、どんな実態が示されていますか。
○国務大臣(田村憲久君) 十一月時点の一人親家庭の状況ということでJILPTに依頼したと、これは私が申し上げて緊急に調査をしていただきました。
苦しい一人親世帯六〇・八%、これは年末に向かっての暮らし向きですね。一人親世帯以外は四七・六%。直近一か月で必要とする食料を買えない経験があった一人親世帯三五・六%、一人親世帯以外が二六・四%。貯金が一切ない、あっ、貯蓄が一切ない、また五十万円未満の一人親世帯が四〇・六%、一人親世帯以外が二八%。やはり一人親世帯の方が厳しいという結果が出ました。
○山添拓君 その調査では、一人親以外の世帯も含めて、貯蓄ゼロ、食料を買えなかったと、こういう世帯が広がっていることが示されています。
低所得の子育て世帯に改めて給付金が必要ではないかと思いますが、これは総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) とりわけ経済的に厳しい状況にある一人親家庭の皆さんに対しては、年末年始を前にいち早くお手元に資金を届けにゃならないという思いの中で、昨年末に特例的に給付金の再支給を決断をしました。
今後は、緊急小口資金などの特例貸付けなど、個々のニーズに沿った支援策を子育て世帯が受け取られるよう、自治体における取組を支援していきたいと思います。
○山添拓君 もう食べるものが買えないという人たちに、借金してくれと言うんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 御承知のとおり、緊急小口資金、また総合支援資金、こういうものは、言うなれば、償還時に収入が下がって非課税という形になれば、これは償還が免除になると、こういう類いのものでございます。そういう意味では、低所得で苦しんでおられる方々には是非とも御利用いただきたいと思いますし、あと、住居確保資金、こちらの方も延長を、延長といいますか、人生一回しか本当は駄目なんですが、二回目申請いただくということも、これ今回決めさせていただいております。
いずれにいたしましても、働く場のいろんな対応でありますとか、高等職業訓練促進給付金、これ、一人親の方々が四年間、それこそ生活資金というような形で十万円をいただいていただきながら訓練をいただいて、例えば看護師や保育士の資格を取っていただくというようなものでありますけれども、最大四年間でありますが、こういうものも含めていろんな形で御支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○山添拓君 総理にもう一度伺いますが、女性に集中的に深刻な影響が及んでいます。これ、総理はなぜだと認識されていますか。
○国務大臣(田村憲久君) 特にやはり非正規で働いておられる方々、一人親のお母様というか、お父様もそうなんですけど、多いわけでございまして、そういう中において、飲食業等々、また、あと観光業ですね、こういうものが今非常に厳しい。飲食業に関しては、特に緊急事態措置を発令しているところに関しましては、要請を、休業の要請といいますか、八時以降の時短の要請をいたしております。そういう意味で、そういう方々がやはり厳しい対応になっておるということであります。
一方で、そういう状況でございますので、もし解雇される、若しくは職を失われた場合には、これトライアル雇用というような形で新たに、今までは就職困難者だったんですけれども、そういう方々も業種、職種を転換していただく中において、トライアル雇用という形で企業にもしっかりとそういう方々を雇っていただけるというような制度も今回新たに拡充をいたしておりますので、いろんなものを利用していただきながら、何とかしっかりと雇用につなげていただいて生活の安定をしていただく、こういうことに支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○山添拓君 もう一度総理に伺いたい。
非正規で低賃金が多い、そうした問題はコロナの前からです。コロナの前からのジェンダー不平等の社会が、それが拍車を掛けていると。今女性が直面している課題というのはそういう問題なんだと、総理はそういう認識をお持ちでしょうか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 特に新型コロナは、とりわけ女性に対して大きな影響を与えているというふうに思っています。特に、非正規労働者を中心に女性の雇用者数は大幅に減少しており、雇用や生活面で厳しい環境にあります。また、DVの相談件数や女性の自殺者数が前年比で大幅に増加していること、このことは大変重く受け止めております。
政府としては、今回の第三次補正予算案に相談体制の強化とDVや自殺対策に必要な予算を計上しており、引き続き、対策の強化を図るとともに、昨年末に閣議決定をした基本計画に基づいて、全ての女性が輝く社会を実現に向けて全力で対応していきたいと思います。
○山添拓君 ところが、その基本計画は、指導的地位の女性割合三〇%の目標を先送りにし、選択的夫婦別氏制度の文言まで削除しました。ジェンダー平等に逆行しているじゃありませんか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 別氏については、様々な議論がある中でそうしたことの方向になったというふうに思います。
○委員長(山本順三君) 山添君、時間が来ております。
○山添拓君 総理が政治家として責任があると述べていたものまでなくしたわけです。コロナ危機の先にジェンダー平等を実現するべきです。そのために、あらゆるコロナ対策の立案、実施、ジェンダーの視点から見直すべきだということを述べて、質問を終わります。
○山添拓君 日本共産党を代表し、二〇二〇年度第三次補正予算案に反対の討論を行います。
爆発的な感染拡大を抑制し、医療崩壊を一刻も早く食い止め、暮らしと経済を守るために、政治はあらゆる力を注ぐべきです。
ところが、三次補正案は、緊急事態宣言前のもので、コロナ収束を前提としており、十九兆円のうちコロナ対策は四・四兆円にすぎません。これでは現下の局面に到底対応できません。
補正予算による支出は、特に緊要となった経費について行うものです。三次補正案は、二度目の緊急事態宣言による緊急の必要を満たさないばかりか、感染抑止に逆行するGoTo事業の延長、災害復旧以外の事業を盛り込んだ国土強靱化など、不要不急の経費が大半を占めています。二千八百十六億円に上る兵器購入の前払は、補正予算を悪用した軍拡であり、緊急性は全くありません。
日本共産党は、立憲民主党と共同し、衆議院で組替え動議を提出しました。急ぐ必要のない予算を撤回し、医療、検査、補償などを抜本的に強化するものです。医療機関への減収補填を直ちに決断すべきです。PCR検査の戦略的な拡充のための予算もありません。
補償は、一律の協力金や一時金ではなく、規模と実態に即して支援できるものへと改めるべきです。持続化給付金や家賃支援給付金を打切りにするのは言語道断です。雇用調整助成金の特例措置や休業支援金を中堅企業や大手チェーン店でも広く使えるように拡充し、一人親世帯など低所得者や生活困窮者を新たな給付金で支えるべきです。
こうした提案を与党は一顧だにせず否決し、総理は予備費で対応すると強弁しています。しかし、無為無策と逆行、迷走を重ねてきた菅政権にこれ以上白紙委任することはできません。さらに、特措法等改定により罰則と制裁で締め付けを図ろうとすることは断じて許されません。
多くの国民が先行きの見えない不安を抱え、苦境にあえいでいます。三次補正予算はその願いに応えるものへと抜本的に組み替え、政治の責任を果たすべきであることを重ねて強調し、討論とします。(拍手)