2021年・第204通常国会
- 2021年3月15日
- 予算委員会
予算委員会で、総務省接待問題について質問
- 要約
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- 予算委で、NTTのドコモ完全子会社化の事前検討がなかったことを質しました。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
東北新社の衛星放送事業の認定が取り消される見通しであります。事業認定、子会社への承継認可、その前後を通して総務省幹部への接待が行われ、総理の御長男である菅正剛氏も度々出席しておりました。行政がゆがめられた可能性はいよいよ濃厚だと言わなければなりません。
東北新社の社長の中島参考人に伺います。
そもそも菅正剛氏はなぜ採用されたんでしょうか。
○参考人(中島信也君) お答え申し上げます。
菅正剛ですが、既に本人と面識がございました弊社の創業者との間でお話をする中で当社に来るお話が出まして、正規の手続を経て入社いたしました。
なぜというところでございますけれども、そこでなぜということは、私の方にはちょっと報告は入っておりません。申し訳ありません。
以上、お答え申し上げます。
○山添拓君 創業者である植村氏は、二代にわたって菅総理に政治献金をしてきたと、そういう経過もあります。
その菅正剛氏を接待の場に同席させた意味ですが、先ほど中島参考人は顔つなぎの趣旨だとおっしゃいました。しかし、パネルでもお示ししますが、顔がつながっているはずの相手ともかなり繰り返して同席されているようなんですね。(資料提示)
菅正剛氏の同席はどんな役割を持っていたんでしょうか、改めて。
○参考人(中島信也君) お答え申し上げます。
菅正剛氏の会食への、連れていったのは、木田と三上でございます。これがどんな役割を持っていたかについては、申し訳ありませんが、私のところに報告ございません。
お答え申し上げました。
○山添拓君 誰でもよかったはずではないはずです。中島参考人でお答えいただけないということであれば、分かる方に御出席いただく必要があると思うんです。
午前中の質疑では、二〇一七年八月、外資規制に違反する状態で認定を受けたことに気付いた際、総務省に相談をしたのは木田氏であったと、そういう答弁がございました。
伺いますけれども、二宮清隆前社長、三上義之氏、あるいは菅正剛氏も、違法である可能性を認識されていたんでしょうか。
○参考人(中島信也君) どの時点での違法の認識でございましょうか。済みません、ちょっと。
○山添拓君 ですから、二〇一七年八月に総務省に相談されたと、その当時ですね、社内でも共有されて、今挙げた方々も認識されていたのかという意味です。
○参考人(中島信也君) お答えいたします。
その時点で二宮、三上は認識しておりました。
以上、お答えいたしました。(発言する者あり)あっ、木田も認識しておりました。(発言する者あり)あっ、菅、菅については、済みません、ちょっと報告を受けておりません。
○山添拓君 分からない点については改めて御報告いただきたいと思います。
木田氏を始めとして、外資規制違反について認識していた方がこれだけの接待に及んでいたということは重大であります。接待の目的、会話、内容などは、接待をされた御本人に聞かなければ分かりません。
参考人としての招致を求めます。
○委員長(山本順三君) 後刻理事会で協議をいたします。
○山添拓君 こうして総務省と東北新社の間で、外資規制違反を隠す事業承継、そういう言わば秘密が共有されたのではないかと思います。
その後、接待はますます常態化していきます。この接待は、審議官や局長、課長など担当部署を総なめにしています。単なる暑気払いなんかではありません。総務省の会議室での陳情ではなく酒の席で、しかもこうして個別に呼び出さなければ聞けないような意見や情報があったということではないでしょうか。その一つが私はBS4K事業の審査に関することではないかと考えます。
放送法における審査は、限られた電波をどの事業者、どんな番組に優先的に与えるかという審査です。ハイビジョン化を促進すべきだ、4K、8Kを増やすべきだと、その時々の政策によって基準が変わる独特のものです。ですから、事業者は必ずしも個別の認定段階で特別扱いされる必要はありません。審査基準そのものが自社にとって都合のよいものとなれば、審査を通過する可能性はぐっと高まるわけです。
総務省の衛星放送の未来像に関するワーキンググループの報告書は、その審査基準の基となるものです。パネルをお示ししました。二〇一八年から二〇年にかけて、接待が続く中でその内容が大きく変わりました。BSの電波に空きが生じた場合、割当てをどうするのか。二年前には新規参入だとしていたのが、二〇二〇年には既存事業者が4K化をして参入する、そういう場合も視野に入れるものとなりました。
中島参考人に伺いますが、東北新社としてもこうした方針転換を求めていたのですね。
○参考人(中島信也君) お答え申し上げます。
ワーキンググループにおける基準の変更を狙って会食をしたというふうな報告は私は受けておりません。(発言する者あり)そういう、審査基準を変更することを求めていたというふうな報告は私は受けておりません。
○山添拓君 しかし、このような内容になることを望んではいたわけでしょう。
○参考人(中島信也君) お答え申し上げます。
ワーキンググループは業界全体の一つの指針を示すものではないかと思うんですが、そこにおいてこの状態を求めていたというふうなことは、私には調査委員会の方からは報告されておりません。
以上、お答えを申し上げました。
○山添拓君 では、それは改めて聞かなければなりません。東北新社を有力企業とする衛星放送協会が意見を述べる中でこのように変わったのであります。
ネットフリックスなどの動画配信サービスが広がる中で、衛星放送は順調とは言えません。しかも、視聴者の多いBSというのはチャンネルに限りがあります。NHKなど大手が占めています。東北新社はここに入り込みたかったのではないのか、だからこそ接待が集中したのではないかと考えられるわけです。
総理に伺います。違法な事業認定や子会社への承継認可が見過ごされ、ワーキンググループの方針が改められ、東北新社を含めて事業者が望んだ審査基準が作られようとしています。その間、接待が続けられ、菅正剛氏が重要な役割を果たしていることもうかがわれます。
一連の接待が放送行政にゆがみをもたらしている、そのことをお認めになりますか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 総務省で、第三委員会の中でそこはしっかり事実に基づいて対応する話だと思います。
○山添拓君 お答えいただいておりませんが、否定をされなかったと。ますます、いや、笑っておられますけれども、否定できないわけでしょう。最初は否定されたんですよ、行政をゆがめたことはないと。今それは変わっているじゃありませんか。二重三重にゆがみが生じているわけです。その認識は、ですから、ゆがんでないなどという言い方はできないはずです。
NTTの問題についても問うていきたいと思います。パネルをお示しします。
刑法百九十七条一項は、公務員が職務に関して賄賂を受けることを収賄罪としております。実際に行政をゆがめたかどうかは問われません。これは、賄賂を受けること自体が公務員の職務の公正性に対する国民の信頼を損なうからだということであります。同様に、国家公務員倫理規程三条は、利害関係者から供応接待を受けること自体を禁止し、何らかの依頼を受けたかどうかは問われません。
坂井官房副長官に聞きます。
大臣規範は、関係業者による供応接待など、国民の疑惑を招く行為を禁じています。何らかの依頼を受けたかどうかは問われていません。これも同様の理由ですね。
○内閣官房副長官(坂井学君) 大臣等規範の趣旨に抵触するか否かという問題でありますが、個々の事情等も踏まえ、総合的に勘案すべきものと考えております。
○山添拓君 趣旨を聞いているんですよ。何らかの依頼を受けたかどうかを問われず、問わず禁止をしているのは、公務員のあるいは大臣たちの職務の公正性に対する信頼を損なうからだと、そういうことではありませんか。
○内閣官房副長官(坂井学君) 大臣等が自ら律すべき規範としてのこの、あれですけれども……(発言する者あり)いやいや、いや、なので、これに関してもですね、ちゃんと説明をさせていただいて、御理解をいただけるという内容であれば、それは普通じゃないかと思います。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 質疑者は質問だけしてください。
止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本順三君) 速記を起こしてください。
○内閣官房副長官(坂井学君) 大臣等規範の御指摘の箇所、御指摘の箇所というかその意味でありますが、国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、国民の疑惑を招くような行為をしてはならないということを定めたものであると理解をしております。
○山添拓君 要するに、利害関係者や関係業者から利益を得ること自体が国民の疑念を招き、職務の公正性に対する信頼を失わせるということなわけですよ。
武田大臣は疑念を招く会食はないと答弁されていますが、これ要するに、会食自体はあったと受け止めるのが自然です。大臣がそのように強弁すればするほど国民の信頼は失われていくということを自覚されるべきだと指摘させていただきたい。
NTT社長の澤田参考人に伺います。
接待を受ける側で収賄に当たり得る行為は、接待した側の贈賄に当たり得るものになります。
澤田参考人は、午前中の質疑で、民間企業であり上場会社であることを強調され、個別の会食については明らかにしない、こう答弁されておりますが、贈賄に当たり得る行為であれば、それだけでは済まされないのではありませんか。
○参考人(澤田純君) お答えいたします。
私は、その会食の中で、業務上に関係するような話、あるいは業務上で便宜を図ってもらうような話、そういうことを出しておりませんので、そういうものには当たらないというふうに判断しております。
○山添拓君 先ほど御指摘をしましたように、接待の中で何か依頼したとか、それによって実際にこうしてもらったということは関係ないんですよ。疑念を抱かれかねないような接待かどうかということが問題なんです。
なぜ会食は重ねられたのか。携帯料金値下げを看板に掲げる菅総理とNTTグループの再編を狙うNTTの思惑が一致したからにほかならないと思います。
その表れが、昨年九月に発表されたNTTによるNTTドコモの完全子会社化です。澤田社長自身、その会見では、ドコモの完全子会社化によって携帯料金値下げの原資が確保できると述べています。これ、一体に進められたものですよ。
発表に先立つ昨年七月、総務省に事務的に確認したと述べられました。総務省はすんなり認めたのでしょうか。
○参考人(澤田純君) お答えします。
まず、総務省に問い合わせましたのは、TOB、いわゆる子会社化の段取りです。この説明を行っています。もう一点は、法制度上の問題はあるかという問合せです。これは、後日、問題はないという回答をいただいております。
○委員長(山本順三君) 総務省側、答弁ございますか。
それでは、山添拓君。
○山添拓君 NTT法にはドコモに関する規定は一つもないんです。監督官庁にも確認を求めるのは当然だと思いますが、これを受けた総務省には応接記録があるはずです。提出を求めたいと思います。
○委員長(山本順三君) 後刻理事会で協議をいたします。
○山添拓君 総理は、九月二日、総裁選の出馬会見で携帯料金に言及し、事業者間で競争が働く仕組みを徹底したい、こう述べています。
ドコモの完全子会社化についての情報を知った上での発言だったのではありませんか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私は承知していません。私自身は、日本の携帯電話三社で十数年にわたって九割以上寡占状況にある、競争が全く働かない、世界で一番高い料金になっているじゃないですか。そうしたものを競争ができるような環境にするのが、私は私の役割、政治だと思いました。
○山添拓君 当時、通信行政担当の審議官だったのが谷脇氏ですから、総理に伝えられたことは十分に考えられると思うんですね。しかも、NTTがドコモの完全子会社化を発表したのは総裁選の直後のことです。携帯料金値下げというのは、過去にも総裁選のたびに取り沙汰されてきました。これ無関係と考えられるのかと、これは疑問を抱いているわけですよ。
ドコモの完全子会社化の下で、総理が言うような競争が働く仕組みによる料金引下げ、本当に実現するのでしょうか。
総務省、公正競争確保の在り方に関する検討会議では、考えられる弊害が実例として既に指摘されております。
日本ケーブルテレビ連盟のある事業者は、NTT西日本から光ファイバーを借り、自治体向けの情報通信ネットワークを提供していました。しかし、昨年の入札では、この事業者がNTTに払っている金額より低い金額でNTT自身が落札してしまったといいます。地域の通信事業者では逆立ちしても勝負にならない、こういう訴えがあります。
同じことが携帯市場でも起きかねないのではありませんか。そうなれば、競争どころかNTTの独り勝ちです。競争環境をゆがめる可能性、総理、これは否定できないですね。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 携帯電話料金については、先ほども申し上げましたけれども、世界的に見ても高い料金、不透明な料金体系となっており、国民として当たり前の感覚からすれば、それが大きく懸け離れていた事実に問題意識を持って、これまで改革を進めてきました。そのことは、今回の案件と結び付けるのは何か飛躍し過ぎるというふうに私は思います。
いずれにしろ、総務省においてそこはしっかり対応されることだというふうに思います。
○山添拓君 いや、飛躍だとおっしゃるんですけどね、与党の皆さんからもそう言われましたよ、この前も。だけど、これだけこのタイミングで接待が繰り返されていることについて納得いく説明をどなたもしていないじゃありませんか。だから、こうではないかと指摘しているわけですよ。
NTTが強いのはなぜかといえば、それは、電電公社時代、全国津々浦々に建物や電柱やケーブルなどを網の目のように張り巡らせ、これを引き継いだからです。元々は国民の財産です。ドコモの完全子会社化によって、短期的には携帯料金が下がるかもしれません。私はそれを否定していません。しかし、それは、圧倒的に強いNTTに更に利益を集中させ、将来的には利用者の選択肢を狭めかねないものだと考えます。
そもそも、携帯料金は認可制でした。一九九五年の法改正で届出制となり、二〇〇四年には届出も不要とされ、事業者任せになりました。自由化によって競争を促すのだとされてきたんですよね。今総理が携帯料金を下げろと、こう躍起になって訴えているのは、三十年来の政策が結果として失敗だったということなんですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 三十年来の政策というのは私から答える立場にないと思いますけれども、少なくとも、現在の携帯料金が三社で十年以上寡占、九割以上の寡占状況があって、世界でも最も高い水準で行われていることは事実じゃないでしょうか。国民の財産、貴重な財産である電波の提供を受けてこれ運営しているわけでありますから、そこは、やはり廉価で、そして競争の働くということが大事なんじゃないでしょうか。
現に、三社の経常利益は常に十番以内にここ十年近く入っていますよ。毎年十番以内に入っています。それは国民の財産の電波を提供を受けて活動しているわけですから、そこは、やはり幾ら何でもやり過ぎじゃないでしょうか。そこについて競争の働き方の仕組みをつくるというのは、これはやはり政治の大きな役割だと私は思っています。
○山添拓君 それは答えになっていないですよ。
私は、携帯料金の値下げそのものを否定しているわけではないんですよ。しかし、その競争環境を整えるためには検証が必要であり、議論が必要なはずです。
では、伺いますけれども、なぜNTTがドコモを完全子会社化し、そうして携帯料金値下げに進んでいくということについて事前の検討が一度もされていないのですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) そこは私が答えることじゃないと思いますよ。
○政府参考人(竹内芳明君) お答えいたします。
NTTドコモの完全子会社化につきましては、法令上、事前に総務省の許認可を必要とする手続ではございません。NTT側の経営判断によって実施になる手続でございます。
ただ、総務省といたしましては、このNTTドコモの完全子会社について、通信市場における公正競争、そこに与える影響があるというふうに考えておりますので、公正競争確保に向けた在り方について公開の場で議論を行っているところでございます。
○山添拓君 それは完全子会社化の発表の後のことですよ。事前の検証なく行われたということについて私は問題を指摘しているんですね。
もちろん、携帯料金の値下げは国民的なニーズだと思います。しかし、それを看板政策にする裏で、政治家や役人への接待を重ねるNTTに利益が集中しかねないようなやり方を議論もなく認めていく、これは露骨な利益誘導じゃないでしょうか。総理、いかがですか。
○参考人(澤田純君) 済みません、手短に一点。
今、山添委員がおっしゃった件でございますけれど、ドコモのTOBを事前に言うということは、これはインサイダー情報で、株式、証券取引上できないことです。その構造でございます。
○委員長(山本順三君) 山添君、時間来ておりますので、端的にまとめてください。
○山添拓君 伺っていないことにばかり御説明をされる。答弁になかなか立たれない。
菅政権の看板政策だからこそ、法の趣旨もあるいは従来の方針も十分な検証なく変えてしまったのではないのかと、そこに事業者や特殊会社との緊張感のない癒着が影響したのではないのかと。徹底解明が引き続き求められることを指摘して、質問を終わります。