2021年・第204通常国会
- 2021年7月30日
- 議員運営委員会
参議院議院運営委員会で西村コロナ対策担当大臣に質問
- 要約
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- 参議院議院運営委員会で西村コロナ対策担当大臣に質問。「総理のツイートは30回中20回は金メダルへの祝辞。感染拡大のつぶやきすらない。経験したことのない爆発的な感染拡大のときに総理が国会に出てこない。それ自体が国民に対して誤ったメッセージになる」と厳しく批判。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
東京を始め感染が爆発的に拡大し、政府分科会の尾身会長は、一年半のコロナ対応で最も厳しい状況と述べています。ところが、先ほど来お話ありますように、今日も菅総理は出席されていません。宣言の効果がないとか五輪で警戒が緩んでいるのではないかと記者から問われても、いろんな意見があると言うだけでした。
総理のツイッターアカウントを見たんですが、五輪が始まった二十三日から今日まで三十回のツイートのうち二十回が五輪関係です。しかも、ほとんどがメダル獲得のお祝い、それも金メダルだけですね。一方、感染拡大についてつぶやきすらないというのは、これ理解し難いと思うんです。
大臣は先ほど、総理と危機感を共有していると述べられました。では、なぜ国会にすら来られないのでしょうか。あらかじめお伝えしますが、国会では決めていません。この理事会では、与党の筆頭理事から、与党としても政府に働きかけたけれども駄目だったんだと、そういう説明があったと伺っています。なぜ国会に来られないんでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 済みません、その与野党間のやり取りについては詳細を承知をしておりませんが、私、この特措法の責任者として、この場で丁寧に説明をし、御理解を、多くの皆さんに御理解をいただけるように対応していきたいというふうに考えております。
いずれにしましても、今日は対策本部もございますので、菅総理御自身、会見もあると思います。御自身の言葉でしっかりと呼びかけ行っていただければというふうに考えているところであります。
○山添拓君 国会で総理が出てくるようにと求めたにもかかわらずそのことが伝わっていないのだとすれば、それ自体大問題だと思うんですね。経験したことのない爆発的感染拡大で新たに国民に協力を求めるというのに総理が出てこないと、それ自体が国民に対して誤ったメッセージとなるということを指摘したいと思うんです。
一番危機感を共有できていないのは総理じゃないでしょうか。総理は、五輪中止の選択肢について、人流は減少している、そうした心配はないと述べています。しかし、夜間を中心に人出の減り方は前回より鈍く、期待されるほど下がっていないとされています。NTTドコモの統計では、四連休初日の都外への人出は前の週の土曜日に比べて三割増え、石川県への移動が二・五倍、長野県二・四倍、京都府二倍など大幅に増えています。今後地方へ拡大することが十分予想されます。
国内で更に感染が拡大しても五輪は心配ないと、こういうことなんでしょうか。東京大会の組織委員会専門家会議の岡部信彦座長が、一般医療にしわ寄せが行くような状況になれば大会の中止も検討するべきと述べています。政府として中止の検討、必要ではないでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) まず、緊急事態宣言発出をし、その後、二十日頃から夜間の人流が、昼間のもそうですけれども、人流は減ってきております、人の出は減ってきております。オリンピック始まる中で多くの国民の皆さんが自宅で観戦をし、視聴率も四〇%、五〇%という中で、御協力をいただいているものというふうに思います。
他方、今日の分科会でも御指摘がありましたけれども、やはりオリンピック開催によって高揚感が高まる中で、その高揚感のまま外出をして、ちょっとでも気を緩めれば、変異株は非常に感染力が強いですから、マスクを外したり、いろんな機会でそうしたことが続けば感染が広がっていくということの御指摘もありましたし、まさに御指摘がありましたように、東京の近郊への、この四連休など、人流の流れが増えていることを確認しております。
それぞれの都道府県で様々な呼びかけ、感染対策など行っていただいていると思いますけれども、引き続き、夏休み、県をまたぐ移動、これについてはできるだけ控えていただいて、どうしても行かれる場合も、分散でしていただくこと、あるいは少人数、家族、あるいはいつもの仲間、少人数で外出、こういったことを含めてしっかりと呼びかけ、これは都道府県と連携をして対応していきたいというふうに考えております。
いずれにしましても、オリンピックにつきましては、それぞれの組織委員会、そして関係者の皆さんの御尽力で、選手も毎日検査をやって、そして陽性者が見付かれば対応するということで、オリンピック自体で何か感染が広がっているということではないと思いますけれども、いずれにしても、先ほど申し上げたように、専門家の皆さんからもその高揚感みたいなものが非常に危惧も示されましたので、そういったことを含めて、感染防止策徹底を引き続きお願いしていきたいというふうに考えております。
○山添拓君 高揚感だけの話じゃないと思います。選手や関係者で二百二十人の感染が確認されています。バブル方式も破綻が明らかになっています。そして、国内は爆発的な感染拡大です。安全、安心とは程遠い状況にあります。オリンピックの開催でコロナを軽く見てしまう楽観バイアスが強まり、緊急事態宣言が意味を成さなくなってきていると心理学者が指摘をしています。五輪はやる、だけど国民には自粛を求める、総理のツイートは金メダルばっかりと。総理がこの楽観バイアスを増幅させてしまっていると指摘しなければなりません。
総理は、高齢者の感染が減った、重症者は急増していないと強調してきました。しかし、重症というのは、ICUや人工呼吸器を使う、言わば瀕死の状況です。その手前の中等症でも、患者が増えれば医療は逼迫することになります。
日本医師会など九団体は昨日緊急声明を発表し、重症病床使用率がステージ4の指標に達しなくとも、中等症患者の増加も相まって医療の逼迫が迫っていると危機感を表明しました。ところが、東京都は、医療に与える圧迫は変わっている、いたずらに不安をあおるなと、そういう認識を示しています。
政府は東京都とも緊密に連携を取り合っていると、こう伺っていますけれども、大臣もそういう認識でしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) これ、重症者の定義をどうするかということで、東京都と厚労省でも様々議論をこれまでも重ねてきているんですが、まさに中等症と呼ばれる方々、この方々が、いわゆる高流量の酸素吸入を必要とするということで、私はもう実質重症化に近い状態になっているというふうに考えておりますけれども、挿管をしている、人工呼吸器を挿管している重症者八十名という報告を受けておりますが、実はこの酸素吸入が百十名おられますので、そういう意味では医療がかなり厳しい状況になってきているという認識をしております。
だからこそ、東京都としっかりと連携をして、医療提供体制確保と同時に感染防止策徹底を図っていかなきゃいけないと、強い危機感を持っているところでございます。
○山添拓君 重症者と重症者に準ずる患者合計しますと、東京都は約三百五十人と、既に第三波と同じぐらいの水準になっています。
重症患者という氷山の下に予備軍の中等症が大勢いると指摘されております。高齢者が減った、重症者が増えていないと言えば言うほど、国民に対しては根拠のない楽観論が振りまかれるということになってしまいます。尾身会長が言うように、医療の逼迫は既に起き始めていると。
大臣も今、危機感を持っているとお話しでしたけれども、そうであれば、五輪を中止しコロナ対策に集中するべきだと、臨時国会も開き徹底審議するべきだということを申し上げて、質問を終わります。