2022年・第208通常国会
- 2022年3月8日
- 予算委員会
予算委員会公聴会で、核抑止論や敵基地攻撃能力について質問しました。
- 要約
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- 予算委員会公聴会で、核抑止論や敵基地攻撃能力について質問し、展望がない抑止力論に変わる政策的対応はなにかと質問しました。公述人は「軍備を増強すれば軍拡になることは歴史的に明らか。関係国の間で軍事力が使えない緊張感を作るとともに、軍縮にむけた交渉に力を入れることが大切」と。
○公述人(角南篤君) 今日は、お招きいただきまして、ありがとうございます。
私の方からは、限られた時間ではございますけれども、現在、我が国の中で非常に推進をしております経済安全保障についてお話をさせていただければと思っております。
御案内のとおり、経済安全保障というのは世界でも非常に注目されている課題でございまして、これに向けて、今回我が国では初めて経済安全保障を担当する大臣を設置するということで世界からも注目をされているところでございますが、それに伴いまして、現在、御案内のとおり、経済安全保障推進法案ということで今国会の中で議論がされるというふうに伺っております。今日は、それについて少し私の意見を述べさせていただければというふうに思っております。
まず、資料に沿って話をさせていただきますが、一枚めくっていただきまして、我が国が推進する経済安全保障と、そして、よくこれに伴って使われている言葉でエコノミック・ステートクラフトということがあります。
なかなか、こうした概念というのが一体何を意味しているかというのがなかなか分からないというところがございまして、今日はまず、私が考える、まず、我が国にとっての経済安全保障というのはどういうことを目指すべきかということを少しお話をさせていただければと思います。
いろんな定義があるわけでございますが、私は、この社会経済システムを伝統的・非伝統的安全保障課題ということで、非常に幅広いこの課題というものからこの社会経済システムを守り、そして同時に、この強靱な社会経済システムを活用することによって、こうした脅威に対して課題解決に活用していくというところを考えるべきではないかというふうに思っております。
伝統的といえば、軍事的脅威ということでございますが、これは今、もちろんウクライナではもう大きな戦争に発展しております。具体的に軍が侵攻して行われている脅威でございますが、それ以外にも、非伝統的課題というのは我が国でも非常に大きな脅威として出ています。これは、気候変動であったり自然災害、それからテロ、海賊問題というようなこともありますし、感染症あるいは金融的な危機ということもあります。
こうした幅広い脅威というものを、我々のこの社会経済システムをどうやってそこから守り、そしてそこから、自らこのこうした課題に対して解決も出していくと、こういうことを考えるのが経済安全保障ではないかというふうに思っております。
参考までに、現在、政府の中で、法案の方で書かれている定義はそこに書いておりますけれども、それよりは、私は割と広めにこう考えているというのが現状でございます。
それから、エコノミック・ステートクラフトというのがよくこの議論の中で出てくるんですが、これは国際関係論の中で、一九八〇年代に、当時私はコロンビア大学の博士課程の学生だったんですけれども、デービッド・ボールドウィンという先生がいらして、それで八〇年代に「エコノミック・ステートクラフト」という本を出しました。それは主に、経済制裁の効果、つまり、ここに書いてありまして、一言で言うと、国家が自らの戦略的目標を達成するために経済的手段によって他国に影響力を行使すると。つまり、経済的な手段を使うことによってある国家的戦略を達成するということをエコノミック・ステートクラフトと当時は言っておりましたが、なかなか現実問題として、実際にそれで効果が上がったのかというところは常にこの研究の間で議論がございまして、効果の実証の問題、あるいは実際に実効性の課題ということをかなり言われております。
今回も、ロシアに対して経済制裁を考えたときに、ある、やはりみんなが一つになって経済制裁をしないと意味がないんですが、やっぱりそこに温度差が必ず出てくると。一国や二国は参加しなくなってきて、なかなかその経済制裁って効果性、効果的なのかという議論が常に、今回もありましたけれども。そういった意味では、この効果が本当にあるのか、あるいは実際にこのエコノミック・ステートクラフトを実行したときに実効性があるのかと、これは研究者の間でも常に議論があるところです。
言われているのは、エコノミック・ステートクラフトはアナウンスメント効果はありますということで、これはもう最初からみんなで、ああ、それは絶対私たちは認めませんよというメッセージ効果というのが言われていますが、実際にこれを実動すると、基本的にはお互いに報復の応酬が始まって、どんどんエスカレーションしていくと。じゃ、出口がどこに行くのかというところの議論が常にありまして、今言ったような形でこのエコノミック・ステートクラフトというのは研究の対象には結構なるんですけれども、実際にこれを実行していくということについては幾つかの課題があるということです。
このエコノミック・ステートクラフトと経済安全保障というのは同じではなくて、経済安全保障というのは、もちろんもっと大きな、先ほど申し上げた概念で今我々はこの議論をしているんだろうという私の理解です。
めくっていただきまして、この背景に、これも皆さん御案内のとおり、先端技術をめぐって米中の覇権争いが顕著になっているということがあると思います。我々の研究の中でテクノヘゲモニーの分析というのがあるんですけれども、二十世紀にですね、これは、アメリカが先端技術をベースにしたある種の覇権というものをつくったときの要素というのは二つあると言われております。
一つは、新しいアイデアを誰よりも早く導入する、そういうシステムを持っていると。ここは大学と産学連携というのが一つのキーワードになるんですけれども、やはり、大学で新しいオリジナルのアイデアをつくって、そしてそれを産学連携という仕組みでどんどん世の中に出していく、これを持っていることが一つ要件の中に入っている。それからもう一つは、それを一気に大量生産をして社会実装していくと。
この二つの要素を持っている国はいわゆるテクノヘゲモニーというような意味で技術の覇権国家としてできていくということでありまして、そして、御案内のとおり、二十世紀後半には日本が世界の中ではこの技術をもって大きな国に、大国になるのではないかということで言われたときもあります。
今回、今は、この二十一世紀になって中国がまさにこの分野で台頭したことによってアメリカは覇権国という地位を脅かされているということでありまして、例えばロボティクスであったり、AIであったり、ドローンであったりというようなところがまさにこのターゲットになって米中の間での覇権争いが非常に激化していると。そういう背景の中で我が国にとって経済安全保障ということを考えなきゃいけないという議論が今起きているというところでございます。
先端技術が切り開くフロンティアというのは、テクノジオポリティクスというふうに我々呼んでいますけれども、そこにおいては、宇宙空間であったり海洋であったり北極圏であったりサイバー空間であったりということで、まだまだ我々人類がまだ未開のところで先端技術がないと入っていけないような、そういう空間においてまさにこの米中の覇権争いが激化しているというのが現状であろうというふうに思っておりまして、こういった意味では、日本、我が国も先を見て、海洋の可視化プロジェクトというのをこう書いてありますけれども、海の、海底であったり、それから月面産業ビジョンということで、もう月まで見通して戦略を打っていくと、こういったところを同時に考えながらこの経済安全保障戦略というのを立てていく必要があるだろうということであります。
めくっていただきまして、中国の台頭なんですけれども、私はずっと、何年かずっと中国の科学技術政策を見てきまして、やがてこの日が来るだろうとずっと確信していました。毛沢東が両弾一星政策というのを打ち出して、その後、トウ小平が改革・開放ということで、大学それから研究機関、いろんなこうした科学技術を支える組織の変革に大胆に取り組んできた、しかもそれを長くやってきたというのが中国の私は強みだろうと思っております。
先ほどアメリカの例を取り上げて、テクノヘゲモニーの二つの要件と、話をしましたが、一つはまさに新しいアイデアを導入して産学連携で出していくということと、二つ目は大量生産をできるノウハウ、能力ですが、この二つは、実は私は中国にはあるというふうに思っています。非常に長く大学を改革してきまして、今や、北京大学もそうですけど、中国のトップ大学は世界のランキングの中でもかなり上を狙ってくるポジションまで上がってきましたし、それから、研究機関もどんどんベンチャー企業を起こしたりいろいろしながらやってきたという、システムをとにかく長年掛けて導入してきたというのが一つです。
それから、大量生産の話は、これは我が国もすごく貢献したんだと思うんですけど、中国で物づくりを一生懸命やりましたので、そこにはある意味で大量生産をするノウハウとか工場というのを幾つも彼らは持っていったわけですね。そうすると、テスラが最初に電気自動車を造ろうと言ったときに、世界の中で中国を選んで、そして中国で生産をするということをしているわけであります。
そういう意味では、この生産システムを持っているということで、この二つの要件を満たしている中国はまさにアメリカにとっては非常に脅威になるということで、この中国とアメリカとの間での覇権争いが、この我々が今経済安全保障を議論している背景にあるということをお話しさせていただきました。
そして、めくっていただくと、具体的に、五ページ目に、アメリカと中国の間で技術の優位性をめぐる競争が具体的なプログラムとして、政策としてこういう形で出ています。
先端技術の脅威、それに対する投資拡大ということで、アメリカは、これも御案内のとおり、最近イノベーション・競争法案ということが通りまして、半導体とかいろんな新しい先端技術、大きな投資をするということが決まりました。それに対して中国も、第十四次五か年計画で非常にこの研究の強化というのを入れております。
それから、人材の問題、確保、流出対応ということで、アメリカも中国も、特に中国はこの千人計画というのが有名になりましたので、そういった意味で、お互いにこの人材、それから流出対応ということで、これを、政策を取っていると。
それから、技術、データの保護というものを強化するということで、アメリカと中国、それぞれ輸出管理に関してもこういう形で政策を整備している。
それから、サプライチェーンのリスクの低減ということで、これも、中国も十四次五か年計画の中でサプライチェーンの強化というのを入れておりますし、アメリカも、御案内のとおり、サプライチェーンの再評価をバイデン政権の下でこれを実施しているという状況であるということです。
めくっていただきまして、そうした中で、これはアメリカと中国だけの動きではなくて、世界中でこのミッション志向型ということが今言われていて、これは、ミッション志向型というのは、課題解決に向けた、こういう先端科学技術を使うんだという。
今までは、科学技術というのはある意味で文明論的な部分もあって、我々が科学技術を発展させることがある意味では文明の一つのあかしみたいなところがあって、極端な話をすればですね、それから、やはり何のために我々は科学技術を発展させ、何のためにこれを我々は使おうとしているのかというミッション型のスタイルにこれ今世界がずっと変わってきています。
ですので、今一番上がっているのは、もちろん経済安全保障のような脅威に対してある種科学技術を使っていくんだというようなこと、それから、気候変動のような地球規模課題の解決に向けてやっていくんだ、あるいは今我が国が推進しているソサエティー五・〇のような社会課題、これは高齢化社会もそうですし地方創生もそうですし、そういった課題を解決するために科学技術を導入するという意味でこのミッション型と、常に何かミッションを与えて、その下で先端科学技術を伸ばしていく、あるいは取り込んでいくということが今これは全世界的に広がっています。
めくっていただいて、このDARPA型というのがその開発のプログラムの一つのモデルとなっていまして、これはアメリカの国防総省の下でアメリカが、スプートニク・ショック以来ですね、とにかく二度と先端技術で世界に負けないということで、非常にリスクは高いんだけれども、世の中にインパクトがあって、ゲームを変えるようなプログラム、技術を開発するためにつくったモデルでございます。
例えば、このDARPAの中でGPSが出てきたりインターネットが出てきたりというようなことでやってきたわけですが、こうしたハイリスクの、しかも、ちょっと先なんだけれども、できたときは世の中を物すごく変えてしまうと、ゲームを変えてしまう、こういうゲームチェンジャーというものを支えるためにこのDARPAというのをみんな今学んでいて、中国もそれからヨーロッパも、いろんなところでこのDARPA型が検討されているという状況があります。
めくっていただいて、最後、時間になりましたので、そうした中で、我が国として、経済安全保障に係る取組を始めてきたということであります。
経済安全保障法制度の議論がありまして、これ有識者会議というのが立ち上がって、私も委員として参画させていただきました。いろんな議論があった中で四つ言われていることがあって、それは、サプライチェーンの強靱化であり、重要物資の安定的な供給の確保、それから基幹インフラの安全性、信頼性の確保、それから官民技術協力によって、さっき言ったような先端技術を磨いて育てていく、それから特許出願の非公開化というようなことがあります。
その中で、最後に、こうした仕組みをしっかりやっていくために、今一つだけ私が申し上げたいのは、これを支えるインテリジェンス機能ですね、シンクタンク機能を持たないと、どの技術が重要でどの技術はもっとオープンにしてよくて、あるいは、これから先どこに投資をしたらいいのか、いろんなそういう、あるいは産業界の中で今どういう研究が重要視されていて、それがどういう形で今後、世の中にインパクトを与えていくのかと、こうしたことを専門的に分析をし、そしてその情報を政策に反映していくシステムが必要であります。そこに、やはりこのいわゆるシンクタンク機能を持っていないと、この経済安全保障法案で整備されても、実際運用するとなるといろんなことで困難なことが想像されると思います。
ですので、この法案を出していくと同時に、やはりこのシンクタンク機能というのはどうあるべきかということも議論をしなきゃいけないということであります。
一つの、ここに参考までに置いてあるのがこのFFRDCという、フェデラリー・ファンデッド・リサーチ・ディベロップメントセンターという、アメリカのランド研究所なんかがやっているような、割と長期的にコントラクトを政府からもらって、そして、その五年間なら五年間の間、政府の一つの研究機関のように研究ができるという民間組織をコントラクトで結んで活用するというやり方でありまして、こうした制度の新しい取組というのを我が国も検討していかないと、なかなかこうした研究、シンクタンク機能というのを整備できないんではないかというふうに思っておりまして、あとは、御参考までに、ランドのストラクチャー、十ページ目、それから十一ページ目に今言ったようなこの課題も書いておりますけれども、もし御質問いただければ後ほどまた御説明をさせていただければと思いますが。
やはりこの経済安全保障、米中のあれもありますし、今まさに対ロシアに関して経済制裁、次半導体だ、あるいは医薬品だ、いろいろ出てきていますけど、どういう効果があるのかということもこのシンクタンク機能がないとなかなか分析できないということであります。
その中で、我々が日本にとって、あるいは我々国民社会にとって、ただ閉じればいい、ただ守ればいいだけではなくて、どうやってそれを発展させていって、そしてそれを社会で共有していくかという、両方の面ですね、これをバランスを取るためにも、やはりちゃんと分析をし、ちゃんと情報を集めて政策に反映させていくシステムが必要でありまして、これがまだ我が国にないので、今この議論は先に進んでいますけれども、是非これは早急に検討していく必要があるというふうに思っております。
以上で、時間になりましたので、私は終わります。
○委員長(山本順三君) ありがとうございました。
次に、松井公述人にお願いをいたします。松井公述人。
○公述人(松井芳郎君) 松井でございます。本日は、お招きいただきまして、ありがとうございました。
私に与えられた課題は、御存じウクライナ危機についての国際法的な問題点について話をしろという御注文でありましたが、参議院予算委員会の議論でありますので、日本ともどういう関わりがあるかということを最後に簡単に触れることができればいいと思っております。
一応簡単なレジュメを差し上げておりますので、それに沿ってお話をいたします。
まず最初に、ウクライナ危機について、国際法とか国連がどのように関わるかという問題でありますが、御存じのように、ロシアの行動が国際法を踏みにじった暴挙であるということはもう国際社会で一般に行き渡っておりまして、日本でも、政府もそう言っておりますし、衆議院、参議院でもその趣旨の決議をしておられるという状況でありまして、今更国際法学者が出向いて国際法に違反しているよというふうな議論をしても余り意味がないようにも思われますが、しかし、やっぱりどの点にどのように違反しているかということを確認するのは、この問題、解決を考える際に必要なことだろうというふうに思っております。
それから、国連無力論というのも一部に登場しておりまして、ロシアがあんなひどいことをやっているのに国連何もできないじゃないかという議論であります。これについても是非考えておく必要があるだろうと思っております。
それで、一のところで書きましたのは、これも皆さんよく御存じの、三月二日の国連の緊急特別総会の決議がロシアに対してどういう非難をし、どういう要求をしているかということを簡単に箇条書をいたしました。ここに含まれているような論点がこの危機が示す国際法上の論点だろうというふうに思って箇条書にしたわけであります。時間が詰まっておりますので一々読み上げませんが、御覧をいただきたいと思います。
なお、国際法の問題を取り上げると申しましたが、ちょっとここで触れることができないことがありまして、これもレジュメに書きましたけれども、最近特に問題になっている原発への攻撃ですね、それから、これは紛争の始まった当時からずっと言われている文民とか民用物への攻撃、これは国際人道法に違反するのではないかという議論がございますが、残念ながらこれには触れることができない。
それからもう一つ、この紛争で行われている、特にロシア側の様々な戦闘行為が戦争犯罪に該当するんじゃないかということで、これを処罰しようという動きが国際刑事裁判所等でも行われておりますが、これにも触れることはできません。つまり、紛争自体、ロシアの武力行使自体が国際法的にどういう問題を含んでいるかということに絞りたいと思います。
レジュメの二番目ですが、ロシアがこの作戦をどういう根拠で説明しているのかということであります。
まだ紛争始まってそんなにたつわけではありません。つまり、武力が使われてそんなにたつわけではありませんので、系統立った国際法的な説明というのはロシア側はやっておりません。
準備の時間が余りなかったので十分調べられておりませんけれども、プーチン大統領の幾つかの演説が新聞紙上でも大きく報道されました。それから、国連機関、安保理事会とか総会で議論が行われておりまして、もちろんロシア代表が発言しております。そういうところから大体ロシアはこういうつもりだろうというところを取り上げてみたのがその次の項目であります。
まず、何よりも先頭に来るのが国連憲章第五十一条、プーチンさんの演説も具体的にこの条を援用しておりますが、これに基づく自衛権の行使だということです。これが中心的な議論だろうと思います。これに二つの側面がありまして、一つはロシアが承認したと言っておりますウクライナの東部地域の、ロシア系の人たちがつくった国ですね、そういう国からの要請に基づいて集団的自衛権を行使しているという議論であります。
もう一つは個別的自衛権の議論でありまして、ウクライナが核兵器の取得を追求している、あるいはNATO加盟を求めている。それから、ロシアに対して様々な領土要求を行っているというふうなことを挙げまして、これに対する自衛だということは、つまり個別的自衛という主張であります。とりわけNATOの加盟については大変敏感でありまして、越えてはならない一線だと、それを越えたじゃないかという言い方をしております。
もう少し一般的に申しますと、これもレジュメで一言書きましたけれども、ウクライナの非軍事化と非ナチ化ということを何度かいろんな場所で言っておりまして、これは要するにウクライナの体制自体を変更するという要求あるいは意図を示しているというふうに思われるわけであります。
それでは、項目の三つ目に入りまして、こういった根拠による武力行使が国際法上どのように評価されるかという問題であります。事実関係は、まだ紛争が始まってそんなにたたないわけですから詳細に分からない点が多々あるのは事実ですけれども、ロシアの主張は非常に事実によって正当化されていない。ロシアが挙げているいろいろな事実が、どうも一般的な説得力を持たないという印象がありますが、それだけではなくて、法的にも多くの問題点があるというふうに考えております。
それをポツ、ポツで書きまして、何よりもやはり武力行使禁止原則の違反であります。これは先ほどの総会決議も非常に強調している。侵略行為という非常にきつい言葉を使って非難しているところでありますが、レジュメに書きましたのは、実は国連総会決議でも、五十年ぐらい前になりますが、侵略の定義という決議がありまして、その中の一部を引用したものであります。
一国の軍隊による他国の領域に対する攻撃、侵入、占領は侵略行為になるということで、これに責任を負う指導者は個人としても刑事責任を負うという考えが確立しております。もっとも、やみくもに全部駄目だというわけではなくて、幾つかの違法性阻却事由が考えられるわけでありまして、そういうものが考えられるかどうかということでありますが、自衛権については、自衛権の行使を主張する国は相手国が自国に対して武力攻撃を行ったということ、そして、自国の対応は攻撃に対して必要であり、かつ均衡が取れたものであるということを証明しなければならないというふうにされております。
しかし、ロシア自身がウクライナによる武力攻撃があったとは言っておりません。これはもう客観的にもそういう攻撃があったとは言えないと思いますが、ロシアの言い分では、自国に向けられた脅威に対して自衛をしているという言い方であります。しかし、単なる脅威では自衛権の発動は正当化できません。
それからもう一つ、これもプーチン大統領等がしばしば言うことでありますが、ジェノサイドの防止、つまり東部諸国、ロシアが承認した東部諸国でウクライナ政府がロシア系の住民に対してジェノサイドを行っているという、これをやめさせるんだという議論であります。確かにジェノサイドは国際法上の犯罪でありまして、これも刑事責任が発生する問題でありますが、これに対処するのは国際社会全体、とりわけ国連の役割でありまして、個々の国家が自称お巡りさんのようにしゃしゃり出て武力を使うというようなことを正当化するわけではありません。
実際にジェノサイドが行われているかどうか、行われているとすれば、ロシアがそのジェノサイドをやめさせるためにいろんなことをやる、そういうことができるのかどうかということをウクライナが国際司法裁判所に提訴をしておりまして、裁判が始まるかどうかはなお未知数でありますけれども、もし判決が出れば、その辺りのことは司法的に明確になるというふうに考えております。
それから、不干渉原則の侵害ということがありまして、ウクライナがどのような対外政策、例えばNATOに入るかどうかですね、どのような対内政策を取るかということは、国際法が認める範囲内でウクライナ自身が決めることでありまして、これらの問題について何らかの圧力を掛けて、武力には限りませんが、圧力を掛けてああしろこうしろと言うことは不干渉原則に違反をいたします。
それから、先ほどからぼつぼつ、ちょろちょろ出てきていますが、東部諸国の独立承認という問題ですが、これらの諸国、中身をお話しする時間はありませんけれども、国家として国際法上国家と認められる要件を備えていないというふうに思われますし、国家でなくても自決権を有する人民と認められれば、これに対する援助をするということも違法ではありませんけれども、そういう人民でもない。むしろ、ロシアが言わばでっち上げた、日本の歴史を思い起こせば、満州国のようなかいらい政権であろうというふうに見られます。そういう政権に対して承認を与えることはウクライナに対する違法な干渉となります。
それから、ウクライナの非ナチ化、つまり体制変更を求めるというのは、実はイラク戦争のときにもアメリカはちらっとそういうことを言ったんですが、これは同盟国からもう全て、例えば英国等からも総スカンを食いまして、少なくとも表立った目標として体制変更を掲げるのは妥当ではないということが確認されたと思われます。もちろん、ウクライナの政治的独立の侵害となります。
その次に書いたことは、もうちょっと国際法の問題とは直接関わらないかもしれない、詳しくは申し上げませんが、周辺諸国に対して昔の大ロシア主義を思わせるような拡張政策を繰り返して取っておりまして、最近は、ウクライナについても、あれは実は昔はロシアの一部であったので、ロシア革命の際にレーニンが間違って独立を認めちゃった、それが問題なんだということをプーチン大統領などは言っておりますから、これはひょっとして昔の領土だから返せという議論につながっていくのかもしれません。
それから、もちろん国連憲章でいえば紛争の平和的解決義務にも違反しております。NATOの、ウクライナNATO加盟はロシアの安全保障上の懸念になっているということは、国連の議論でも幾つかの国が認めているわけです。しかし、そういう懸念があるからといって、それは平和的な交渉等で解決するべき問題でありまして、そのために武力を使うということの根拠にはならないというふうに考えます。
この紛争自体の国際法上の問題、これに尽きませんが、主要な論点は以上のようなことかと思いますけれども、これが、では、国際法と国連に対してどういう意味を持っているのか、日本にとってどういう含意があるのかということを最後に簡単に触れておきます。
国連における討論の経過を数行、ごく簡単に書きまして、もう読み上げませんけれども、この経過は、ロシアの行動が国際社会の圧倒的多数の世論によって批判され、やめるように求められているということは明らかであります。しかし、国連は結局何もしていないじゃないかというふうに言われる方もありますけれども、国連は一応、国連憲章と関連の決議が定めるとおりに機能しております。
確かに、総会決議は法的な拘束力を持たないわけですけれども、国際世論を結集するという意味では非常に重い道義的、政治的意義を有するわけでありまして、今回の、先ほど触れました緊急特別総会の決議もそのような意味が大きいだろうというふうに思われます。確かに、具体的な措置は何もとられていないわけですが、これは国連憲章の欠陥とか国連の落ち度ということではなくて、むしろロシアが核大国であって、しかもしばしば核兵器を使うという脅しを掛けている、このことがやっぱり一定の効果を上げているという側面が否定できませんで、むしろそちらが問題だろう。
で、その裏返しとして、国連が機能していないということを理由にして、核抑止でやっぱりやらなきゃ駄目だという議論が一部に登場しておりますが、核抑止というと大変現代的な概念のように思われますが、歴史的に見れば、十九世紀の国際社会を支配していた勢力均衡の考え方と基本的には同じでありまして、その勢力均衡がうまくいかなかったからこそ国際連盟で集団安全保障がつくられたという経過があります。したがって、核抑止論でいこうという議論は、実は十九世紀的な古い古い国際関係に戻るべきだと主張でありまして、これはとても取ることはできないだろうというふうに思われます。
で、それとも関わりまして、現在、日本ではいわゆる敵基地攻撃論が検討の対象になっておりますが、下手をすると、敵基地攻撃をやれば今回のロシアと同じ立場に立つ危険があるということを認識しておく必要があるだろう。つまり、自衛権の行使である、敵基地攻撃を自衛権の行使であるという説明をしようとすれば、そのことは事実において立証しなければいけませんが、今回ロシアが全くできていないように、日本も、もし、そういう場合、立場に立てば、立証が非常に困難であろうというふうに思われます。で、立証できなければ日本が侵略者だということになってしまうわけであります。
それから、もう一つ、これも懸念されることでありますが、ごく一部のようですけれども、核共有という議論があるように見受けます。つまり、非核三原則を外して核を持ち込ませて、そしてその引き金に日本も手を掛けるというふうな仕組みをつくるべきだという議論です。言うまでもなく、これは日本の国是である非核三原則に反する、少なくとも一原則はほごにするということになるわけでありますが、それだけではなくて、核拡散防止条約ですね、NPT、この第二条で非核兵器国の義務というのが幾つも定められておりますが、そのうちの一つに核兵器の管理を直接又は間接に受領しないことという義務がありまして、これに違反するだろうというふうに考えております。
で、あと、まあ今回の危機から日本がどういうことを学ぶべきかということを、ちょっとこれはもう全く私の感想であります。二点書きましたけれども、もう時間が過ぎましたので、これはまた、御議論がありましたら、後ほど一緒に話をさせていただきたいと思います。
では、取りあえず、以上でお話終わります。どうもありがとうございました。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
お二人の公述人、今日は大変ありがとうございます。
角南公述人に伺います。
ロシアのウクライナ侵略について先ほど来お話があり、公述人御自身も二十一世紀にこんな戦争が起こるのかと驚きを覚えたというお話がありました。また、世界の相互依存が高まるとむちゃができないという想定もあった、それを破ってきたんだという話もありました。そのときに、力に対して力で応じるというそういう時代に戻さないためにも、経済制裁や、あるいは先ほど来言及されているロシアの国内の世論とも結んで、今戦争をやめろという声が国内でもあるということが報じられていますが、包囲していくことは本当に大事だと思います。
ロシアは、軍関係の報道についてフェイクだと当局が認定すると最大禁錮十五年、そういう情報統制を強化していると言われますので、やはり世論を恐れているんだと思うんですね。そのときに、いかに事実あるいは情報を共有していくのか、ロシア国民の世論との関係でもこれは非常に大事だと思うんですけれども、御意見がありましたらお願いします。
○公述人(角南篤君) 私ども笹川平和財団は、これまで長くロシアとも事業を一緒にやってきましたし、政策対話もついこの間までやってきました。それは北極とかいろんなテーマについてありますけれども、ただ、そこで論理的にいろんな議論をしている中で、まさかこういうことが起きるということが全く想定されなかったというか、私自身は少なくともショックというか驚きました。
それは、やはりお互いにいろいろ対話をしている中で、もちろん置かれている状況が厳しいのは分かりますし、ロシアから見たときに彼らの中で脅威というのは何なのかということも大事な、我々ディスカッションしている中で私も学ぶことができましたが、それに対するこの解決方法がまさかこれなのかというのはもう全く想定できなくて、これについては、どこまでこの解決方法をロシアの政府内あるいはプーチンの周辺の人でも共有していたのか、これが合理的な選択だというふうに思ったのかは、私は今でも疑問視しております。
どういうふうにこうなってきたのかというところを考えていく上でも、そのインフォメーションというのは非常に重要だと思います。これも我々財団の方で、先日、ディスインフォメーションに関する取組ということを政策提言させていただきました、いわゆるフェイクニュースも含めてですね。戦略的にこういうことをSNS上であったりネット上で使う、流すことによって、まず世論に影響を与えて操作を与えると。先ほど来から、松井先生のお話もありましたけれども、やはりこの経済制裁が効果的に働くためには、国民世論がそれをちゃんと受け止めなきゃいけない。だけど、そこにディスインフォメーションが入ってきた場合に、逆に、これは誰々のせいなんだとか、そういう敵をつくらせて、仮想につくらせて、そして一つに国民をまとめていくということもあり得ると思うんですね。
それは我々の周辺でも、長く経済制裁をしているにもかかわらず全然事が動かないという国は、事例はどこにもありますから、そういう意味では、先生がおっしゃるように、この情報操作に関する部分というのも徹底的に我々は対策を練っていかなきゃいけないというふうに思っていますので、この二つについては今後の課題になるかなというふうに思っています。
○山添拓君 ありがとうございます。
松井公述人に伺います。
二十世紀の二度の大戦の痛苦の経験を踏まえて国連憲章は武力行使を違法化した、その流れについても若干触れていただきましたが、ロシアがこの戦後の平和秩序を踏み破る中で、このまま十九世紀に戻ってしまうのではないかと、そういう懸念をする声もあります。しかし、国連でも国際社会でも、松井公述人もお話しいただいたように、この侵略戦争に抗議する圧倒的な世論が広がり、過去の歴史が決して繰り返しているわけではないと思うんですね。力に力で対抗するのではなくと、そういう改めて国際的な平和の秩序を再構築していこうと、そういう動きの方が圧倒的に強いと、過去とは違うんだという状況もあると思うんです。
この辺りについて松井公述人の認識をお示しいただければと思います。
○公述人(松井芳郎君) おっしゃるとおりでありまして、私が申し上げたのは、現在直ちに国連が十九世紀に戻るというふうな話ではなくて、そういう方向でまた武力が物を言うような世界に戻ろうとする動きをしている人たちがあると、そういう動きに気を付けていかなければいけませんねというお話をしたつもりでありまして、うまい具合に表現できなかったのかもしれませんが。
国連では、やはり全体としては、現在の体制を守り、強化していくという議論が主流になっているだろうというふうに思っています。集団安全保障をどういうふうに強化するかということは、実はそれほど名案が出ているわけではありませんが、長年にわたって委員会などを通じて議論もしておりまして、そういう方向を我々としても応援をしていく必要があるだろうというふうに思っております。
○山添拓君 プーチン大統領は、この間、核による威嚇を繰り返し、先制使用のハードルも引き下げています。核保有国との緊張を高めて核戦争のリスクを高める危険な動きでありますので、断じて許されないと考えます。
同時に、日本国内では、公述人からもありましたように、アメリカとの核共有を議論すべきだという主張が一部の政治家や政党からなされています。むしろ、核抑止論に固執することが世界の平和にとっていかに有害であるのか、これがウクライナ侵略で一層明らかになっていると思うんです。核の脅しに核で対抗するなら、それはプーチン氏と立場を同じくするものですらあると言えると思います。
核兵器禁止条約の話が先ほどから出ていますが、日本で核保有や核共有の議論をするということ自体が世界の流れに逆行することになると考えますけれども、松井公述人の御意見を伺います。
○公述人(松井芳郎君) 核抑止が平和を維持してきたという議論が核保有国の間には根強くあるのは御存じのとおりで、例えば今の核禁条約ができたときにも核保有国が共同声明出して、今まで核抑止で平和が守られてきたじゃないかという議論をいたしました。
しかし、核抑止の下というか、核兵器国がやってきたことは、現在のロシアがまさにそうであるように、核兵器を自国の国策の手段として核兵器を持っていない国に対する脅しの手掛かりにするという使い方が最も一般的な核兵器の使い方、使い方って、落とすわけではありませんけれども、核兵器を持っているよという脅しを掛ける、現在のプーチンの議論はまさに典型的にそれでありまして、それをやめさせるためには、やはり長期的な目標ではありますけれども、核兵器をなくす、つまり脅かしの手段をなくしてしまうんだということが長期的には重要だろうと思いますが、もう少し短期的な目標としては、先ほどからお話が出ております核兵器禁止条約ですね、核兵器を使うことは違法なんだよと、人道に対する犯罪になるよという世論を強める。つまり、持っていても使えない、あの条約に入っていなければ条約に拘束されるという議論にはなりませんけれども、少なくとも条約が国際世論を体現しているという意味では一定程度の役割を果たすわけでありますから、そういう意味で核兵器禁止条約は非常に重要だろうと。とりわけ日本は被爆国としてこれを何とか推進するスタンスを取っていただきたいというふうに私個人としては考えております。
○山添拓君 ありがとうございます。
次に、岸田政権が敵基地攻撃能力の保有を検討していることについて松井公述人に伺います。
政府は、憲法、国際法の範囲内で日米同盟の基本的な役割分担を維持してこの検討を進めるとしています。しかし、この間、政府は、敵基地攻撃能力とは、相手国の領域まで踏み込んでいって、まずレーダーなどを破壊し、制空権を確保した上で、敵のミサイル基地をしらみ潰しに破壊していくような一連のオペレーションをいうと、こういう答弁も国会でしています。相手国の領域で戦闘機が爆撃することも排除しないと述べています。ですので、ミサイルを一発撃つという話ではなく、全面戦争を仕掛けるような、そういう危険のある話がされています。安倍元首相のように、相手国をせん滅する打撃力だという声まであります。
公述人が指摘された国際法上の必要性と均衡性を満たすとは到底考えられないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○公述人(松井芳郎君) お答えいたします。
敵基地を攻撃するときに、実際に向こうが先にこちらを攻撃してきている、その策源地である基地をたたくという場合と、攻撃してくるおそれがある、したがって、こちらを狙おうとする爆撃機の基地とかミサイルのサイロをこちらから先に攻撃するということでは議論が随分変わってくるだろうというふうに思っております。
前者の場合ですと、もちろん様々な要件がありますが、自衛権として正当化することはできないことはない、もちろん状況によりますが。ただ、後者の場合、つまり、まだ攻撃は発生していないけれどもそういうおそれがあるという段階で基地をたたくというときには、そもそも損害が生じていないわけですから、必要性と均衡性をどう説明するかというのは至難のことだろうと思うんですよね。
全くそういうことはあり得ないということは多分ないだろうと思うんですね。先ほどからちょっと出ておりました着手の時期をどういうふうに推定するかと、決定するかという問題等が絡んできますので、先に手を出すことが何が何でも一切できないという議論はちょっと困難かと思いますけれども、しかし、とにかく具体的な損害が出ない状況でこちらが先に行動を起こすということであると、これを自衛権で説明することは非常に難しい。つまり、自分のところで幾ら自衛権だと思っていても、国際社会、相手国はもちろん、国際社会が全体として言うとおりだというふうに納得してくれないと通用しないということになりますので、敵基地攻撃で先に手を出すということを自衛権で説明することは、全く不可能とは言えないかもしれませんが、至難の業であろうというふうに考えております。つまり、そういうことはやるべきではないだろうと思います。
○山添拓君 ありがとうございます。
敵基地攻撃能力の保有の検討というのは、抑止力の向上を理由として論じられています。実際に使うのではなくても、反撃力を持っているということが相手に踏みとどまらせる材料になるのだと、こういう理屈で進められています。
しかし、松井公述人もお話しになったように、日本がこうして敵基地攻撃能力、反撃力を持ち、抑止力だと言えば、相手もこれを脅威と感じて抑止力を持とうということになるでしょう。抑止力論というのはそういう形で、とても展望がある話とは思えないのですが、では、そのときに、これに代わる対応としてどのような政策を考えるべきなのかと、この点について松井公述人の御意見をお聞かせください。
○公述人(松井芳郎君) 政策の問題は私の専門ではございませんので、ある意味では素人の印象になりますが、一つはやはり軍事力が使えない雰囲気を関係国の間でつくっていくという、いわゆる緊張緩和ですね、これをどういうふうに進めるかということが大変大事だろうというふうに思っております。日朝間でも日中間でも様々な交渉が行われてきているわけですけれども、必ずしも十分な成果を上げているとは思えませんので、それをもっと力を入れるということは可能でもあり必要でもあろうというふうに思います。
それから、もう一つはやっぱり軍縮ですね。逆に。敵基地攻撃能力とか抑止力とかいうことで当方が軍備を増強すれば、山添先生も言われましたように、向こうは、それじゃ、まあ危ないからやめとこうかと思うのではなくて、そういう日本の軍備を突破できるようなより高度の軍備を持とうとするのが、従来の歴史的経験からするとそういうことになるということでありますので、むしろ、そうではなくて、逆の方向で軍備を減らしていく、なくしていくという交渉を、いわゆる仮想敵国になるような相手国と行っていくということが大変重要ではないかというふうに考えております。
○山添拓君 ありがとうございました。
今日は、大変貴重なお話を聞かせていただきました。
終わります。