2022年・第210臨時国会
- 2022年10月13日
- 外交防衛委員会
関係国に働きかけ平和的解決を 北朝鮮ミサイル問題で要求/非公開協議を防衛省職員が無断録音 追及に防衛相、事実認める
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
初めに、ロシアのウクライナ侵略に関わって伺います。
九月三十日、ロシアがウクライナ東部、南部の四州の一方的な編入を宣言し、十日には首都キーウを含め全土で大規模なミサイル攻撃を行いました。二〇一四年のクリミア併合に続き、国連加盟国の主権、領土保全の尊重、そして武力行使と武力の威嚇を禁止した国連憲章と国際法を何重にも踏みにじる暴挙であり、我が党は最も厳しい言葉で糾弾し、併合の即時撤回を要求するものです。
国連総会の緊急特別会合では日本時間の今朝、この四州併合を無効とする決議が百四十三か国の賛成で採択されました。これまでで最も多い数となっています。ここで日本政府はどのように意見表明をしたのか。また、決議に反対あるいは棄権とした国々に対しては事前に何らかの働きかけを行ったのかどうか伺います。
○外務大臣(林芳正君) 日本時間昨日深夜から本日早朝にかけまして開催をされた国連総会の緊急特別会合におきまして、ウクライナ国内における住民投票と称する行為及びロシアによるこれらの地域の併合の違法な試みを非難し、その無効を宣言すること等を内容とする決議、今委員からもお話がありましたように百四十三票の賛成票を得て採択されました。
我が国として、会合に出席をいたしました石兼国連代表部大使から、ロシアによるウクライナ全土へのミサイル攻撃を含む侵略を強く非難し、住民投票と称する行為及び違法な併合、これは、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、国際法に違反する行為であり無効である旨述べるとともに、国連憲章と多国間主義を守り抜く決意、これを表明いたしました。その上で、我が国も決議案の共同提案国となり、賛成票を投じたところでございます。この決議が賛成多数で採択をされたことは、国連総会として国連憲章の原則と目的を守る強い意思を表明したものと受け止めており、これを歓迎いたします。
我が国としても、本総会決議案の採択に先んじて、一か国でも多くの国が賛成し、ロシアに対する国連総会としての強い意思が示されるよう、同志国と連携をしながら多くの国への働きかけを行ったところでございます。
我が国として、引き続きG7を始めとする国際社会と連携しながら、ロシアに対し即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く求めていくとともに、引き続き安保理及び国連総会の動向、強い関心を持って注視をしてまいります。
○山添拓君 プーチン氏は、保有するあらゆる手段を行使する、これははったりではないと述べて、核兵器使用の威嚇も強めています。併合が核による威嚇と一体となっていることは重大です。グテレス事務総長は、国連の目的と原則を侮辱するものだとも述べています。国連憲章を守れという一点で、日本政府も更に多くの国に働きかけるよう、この点は強く求めていきたいと思います。
北朝鮮問題で伺います。
十月四日、日本列島上空を飛び越える弾道ミサイルの発射を強行しました。弾道ミサイルを含め、核兵器関連のあらゆる活動を禁じた累次の国連安保理決議に違反する暴挙であり、我が党としても強く非難し、抗議をいたします。
こうした北朝鮮による軍事的挑発に対して、関係国の間では、対話と交渉の重要性、それらについてどのように協議をし、その内容を表明してきているか、大臣に伺います。
○国務大臣(林芳正君) 北朝鮮は今年に入ってから弾道ミサイルを計二十二回にわたって発射しております。これらの極めて高い頻度で続く一連の挑発行動の中で、四日、我が国を上空通過する形で弾道ミサイル発射を行ったこと、これは我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないと考えております。
私自身、今年九月、国連総会に出席するためニューヨーク訪問中に、ブリンケン米国国務長官、また朴振韓国外交部長官と日米韓の外相会合を行いまして、北朝鮮の完全な非核化に向けて安保理における更なる対応等につきまして、引き続き、日米、日韓、日米韓で緊密に連携していくことを確認するとともに、真剣かつ持続的な対話の重要性、これを強調し、北朝鮮に対して交渉に戻るよう求めたところでございます。
政府としては、今後とも、日米、日韓、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会とも協力しながら関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指す所存でございます。
○山添拓君 対話と交渉の重要性を表明しておられるわけですが、そこで先ほども話題になりましたが、政府はミサイルの発射後、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に対して抗議を申し入れたと伺っています。対話と交渉の重要性については、どのように伝えられたんでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、この一連の挑発行動の中で、四日、我が国上空を通過する形で弾道ミサイル発射を行ったこと、これは我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かす暴挙でございます。
北朝鮮の弾道ミサイル発射に際しては、北京の大使館ルートを通じ、そのたびごとに厳重に抗議をしております。それ以上の詳細につきましては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○山添拓君 いや、ですから、こういう事態を受けて外相会談を行って、その中で対話と交渉の重要性を強調して表明したわけですよね。ですから、北朝鮮に対して直接物を言う際にも、もちろん抗議は必要だと思いますし、今回のような暴挙を許してはならないと、その表明が必要ですが、その上で、対話と交渉について働きかけをしていくということがこれは必要なんじゃないでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 日米、日米韓につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、この今回の北京の大使館ルートを通じての抗議につきましては、冒頭申し上げましたように、北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い表現で非難をしたところでございます。それ以上の詳細についてはお答えは差し控えたいと思います。
○山添拓君 これはですね、やっぱりまともに伝えているのかどうかすら疑わしい話だと思うんですね。
北朝鮮は、二〇一八年の南北首脳会談、米朝首脳会談でも非核化を誓い、平和構築のための対話や交渉を約束しています。この自らの合意に立ち返るべきだと、だから交渉に応じるべきだと、こういうふうに伝えるべきだと思うんですね。
あるいは、二〇〇二年の日朝平壌宣言、先ほどもお話ありました。拉致問題や北朝鮮による核・ミサイル開発、日本による植民地支配などの過去の清算といった日朝間の諸懸案を包括的に解決することを目指した、そういうものでありますから、日朝平壌宣言に基づいても対話による問題解決を目指す、こういう働きかけを政府としても行うべきだと思うんですね。それを行っているのか行っていないのか、これは言ったって今後の交渉に影響を与えるような話じゃないと思うんですけど、いかがですか。
○国務大臣(林芳正君) 政府の基本的な考え方は、冒頭申し上げたとおりでございます。今回の抗議につきまして、先ほど申し上げましたような北京の大使館ルートを通じて抗議をしたわけでございますが、これに関してのそれ以上の詳細については、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○山添拓君 国会で問われれば、南北首脳会談やあるいは米朝首脳会談、そして日朝平壌宣言、その線が大事だということを答弁されるわけですが、肝腎の相手に対してどう伝えているのかについては明らかにされようとしない、これはどういう態度で臨んでいるのかということが国民的にも見えないということになりかねません。これは是非明らかにしていただきたいと思うんですね。
関係国、特に中国やロシアが対話による平和的解決の立場に立つことも極めて重要だと思います。ところが、中国とロシアは、五月二十五日の弾道ミサイル発射後の安保理では北朝鮮への制裁強化の決議案について拒否権を発動して否決し、今回のミサイル発射を受けた安保理緊急会合もまとまりませんでした。しかし、中国やロシアは、安保理の常任理事国であるとともに六か国協議の当事者でもあります。北朝鮮に対して安保理決議の履行を求めるのはもちろんですが、六か国協議に立ち返って非核化に向けた対話を促す、こういう役割も負っている国々です。
日本政府は、中国、ロシア両国に対して、今般の事態を受けてどんな働きかけを行ったのでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 北朝鮮による我が国上空を通過する弾道ミサイル発射等を受けまして、日本時間十月六日、国連安保理会合が開催され、同会合の終了と近接したタイミングでも北朝鮮の弾道ミサイルが発射されたところでございます。
この同会合では、多くの理事国が今時弾道ミサイルの日本上空通過、そしてその危険性、これを強調した上で、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射を非難し、それらの安保理決議違反を指摘したほか、複数の国が北朝鮮の核関連活動の活発化等への懸念を表明いたしました。
一方で、中ロは、米国の対北朝鮮政策や米韓軍事演習等を批判し、制裁強化に反対する等の独自の主張を行ったところでございます。安保理が、一部の国々の消極的な姿勢によりまして、北朝鮮による深刻な挑発行為と度重なる安保理決議違反に対して行動できていないということは大変遺憾であります。
我が国としては、北朝鮮が国連安保理決議の下での全ての義務に従うことを求めていくとともに、安保理における今後の対応等につきまして、日米、日米韓、またG7を始めとする関係国とも緊密に連携をしてまいります。
○山添拓君 私は、これを曖昧にせずに、中国もロシアも当事国として関わっている問題でありますし、過去の安保理決議、六か国協議、立ち返るようにこれは何度でも迫るべきだと指摘をしたいと思います。
そして、今核兵器開発の推進を北朝鮮が宣言するなど軍事的挑発をエスカレートさせている中で、これを抑えるために協調した外交的対応を取ることが何より必要ですから、防衛大臣は、先ほど、反撃能力を含めあらゆる選択肢を排除せず検討していく、あるいは防衛力抜本的に強化していく、こう述べましたけれども、軍事に軍事で対抗することは緊張関係を高めるばかりでこれを緩和することにはならない、これはやめるべきだということを指摘させていただきたいと思います。
最後に、防衛省に関して看過できない事態があって、質問をさせていただきます。
横浜地裁の横須賀支部で十一日にあった民事訴訟の弁論準備手続で、被告、国側の防衛省の職員が無断でこれを録音していたことが分かったということで、原告側の弁護士が記者会見を開きました。米軍横須賀基地の元従業員が長時間労働で精神疾患を発病したことをめぐって国に損害賠償を求めた事件です。
弁論準備手続というのは非公開です。裁判所と和解案を協議する期日で、国側が一旦退席した際に、原告側の弁護士が、そこにレコーダーが置かれたままになって点滅している、こういう状況を発見したということなんですね。そして、裁判所が調べると、それ以前の期日のやり取りも録音されていたと。国側は内部の打合せ資料に録音を使っていたと説明したと、こう報じられております。
裁判長の許可なく録音することは、民事訴訟規則でできません。もとより、和解協議で裁判官と一方当事者のやり取りを聞くというのは、これは単なる盗聴です。防衛大臣、これは防衛省の指示で行っていたことですか。
○防衛大臣(浜田靖一君) 十月十一日、横浜地方裁判所横須賀支部における弁論準備手続期日において、国側が準備室を一時退席した際に、同室内で残されていた国の指定代理人である防衛省職員の録音機が録音状態にあることが発覚をいたしました。具体的な事実関係については現在調査を行っているところであります。
国の指定代理人である防衛省職員が規則に反する行為をしたことは誠に遺憾であり、事実関係を確認した上で適切に対応したいと考えております。
○山添拓君 いつから録音していたのか、また、これを米軍とも共有していたのかなど、事案の詳細については解明いただきたいと思いますし、これはルールに反して司法を欺くような行為と言っても過言ではないと思います。
この事件はもちろんですが、ほかの裁判でも同様なことが行われていたのではないかということもありますので、徹底して調査をいただくようにお願いしまして、質問を終わります。