2022年・第210臨時国会
- 2022年11月9日
- 憲法審査会
改憲議論の資格なし 岸田政権の大軍拡を批判
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
参院選後のNHK世論調査で、政府が取り組むべき政策課題として憲法改正を挙げた人は六%にすぎませんでした。改憲は政治の優先課題ではありません。
憲法審査会は、憲法改正原案及び改憲発議の提出と審査を任務とする機関であり、国民が求めていない中、動かすべきではありません。安保三文書の改定を見据え、憲法を壊す動きが加速していることこそ大問題です。
政府・自民党は、敵基地攻撃と言いながら、相手国の指揮統制機能等を含むとし、日本でいう総理官邸や防衛省本省などをも攻撃できる能力を持とうとしています。攻撃型の兵器は憲法の趣旨に反するため保有できないとしてきた従来の立場を大転換し、専守防衛を投げ捨て、事実上先制攻撃まで可能にしようとするものです。
安保法制、集団的自衛権の行使とセットで使われる危険は深刻です。日本が攻撃されてもいないのにアメリカが戦争を始めると、自衛隊が米軍と一体に敵基地攻撃能力で相手の国に攻め込む、相手にとっては先制攻撃となり反撃を招きます。日本を守るための抑止力などではなく、米軍を守るために使われ、日本を戦争に巻き込むものと言わなければなりません。軍事費をGDP比二%、この先五年で四十八兆円もの大軍拡に突き進めば、増税か他の予算の削減か国債発行か、いずれであれ、暮らしと経済を圧迫することは明らかです。
軍事的抑止力への依存は、いざというときには戦争し、勝てるだけの能力を保有し、誇示することにほかなりません。それは安全保障のジレンマに陥り、緊張関係を高めるばかりです。
日本共産党は、米中をも包摂した平和の枠組みが必要だと提起してきました。ASEAN諸国は、軍事同盟ではなく、東アジア・サミットの枠組みを強化することで紛争の平和的な解決を目指しています。この枠組みを米中を含む東アジア全域に広げる、こうした外交ビジョンを持つべきです。
日本国憲法前文は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを決意しています。今行うべきは、空前の大軍拡に突き進むことでも憲法を変えることでもなく、憲法九条を生かし、対話と協力の地域をつくるために知恵と力を尽くすことだと強調し、発言といたします。