2024年・第213通常国会
- 2024年1月29日
- 予算委員会
パーティー券裏金問題を追及 全容解明 自民の責任で
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
自民党派閥パーティーの裏金事件に国民の怒りと不信が広がっています。問題は派閥ではなく裏金であり、解散より解明が必要です。ところが、自民党刷新本部の中間とりまとめは、各派閥に説明責任を果たし、必要な対応を求めるなどとするだけで、これはまるで人ごとです。
パネルを示します。(資料提示)
五年で六億七千万円もの不記載が判明した安倍派の塩谷座長、いつどういう形で始まったのか全く分かっていない。西村前事務総長、歴代会長と事務局長の間で長年慣行的に扱ってきた。知らぬ存ぜぬですね。世耕前参院幹事長、秘書が簿外で管理していたと、これは責任転嫁です。
総理は今日の審議で、役員によるヒアリングを行うと述べています。ただ、ヒアリングを行って幹部たちがどういう言い分をするかというのはもう既に出ているんですね。だから、ヒアリングだけでは同じ言い分がまた出てくるだけになると思うんです。これは、捜査の対象となった五年に限らず、遡って、過去に遡って書類やデータ、言い分のこの裏付けとなる証拠も含めて、党として徹底的に全容解明に努めるべきだと思います。いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今回の案件について、検察が法と証拠に基づいて処分を発表しました。このことに基づいて、政治資金収支報告書の修正が今行われつつあります。このことの重みは大変重たいと感じています。
これを基に党としても事実解明に取り組んでいきたいと思います。その際に、聞き取りだけでは不十分ではないかという御指摘でありますが、この外部の有識者にも関与してもらう形で党として実態把握に努めていきたいと思います。
その上で、説明責任、そして政治責任について党として判断をいたします。
○山添拓君 今日は自民党の議員からも、説明責任はいまだ果たされていない、こういう発言がありました。
国民の多くが納得していないのは、何ら解明されていない、なのに刷新本部などといって改革の方向だけを打ち出そうとする、そういう姿勢に向けられていると思います。
大体、この裏金は何に使われたのかと。高木前国対委員長は、全て政治活動費で不正な支出はなかったと述べていますが、根拠がありません。
安倍派では、二〇一九年と二二年、参院選の年、改選となる参議院議員に、ノルマを設けず、集めた全額をキックバックしていたとされますが、総理、これは事実ですか。裏金が選挙買収などに使われた事実はないと断言できますか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 実態解明が重要である、それはおっしゃるとおりであり、私も強く感じています。
だからこそ、検察による法的な責任の追及に加えて、党として説明責任、政治責任を果たしていかなければならない。その中にあって、この政治的に実態がどうであったか、これを党としてしっかり確認をしていきたいと思っています。
是非、この外部の有識者の目も加えて、実態を明らかにしてまいります。
○山添拓君 全然お答えになっていないですよ。
選挙買収など不法な行為、不正な行為に使われたことはなかったと今断言できますかと。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げた取組、プロセスによって実態を明らかにしてまいります。
○山添拓君 これは、今選挙買収などに使われたことがないと断言できるかと、それぐらい調べていただくべきだと思うんですが、今断言できない。それ自体が深刻だと私は思います。いや、今から調べるからというんでしょう。分からないわけですよ。
安倍派を始め、裏金作りに関与した全ての政治家の証人喚問を求めます。裏金作りの経過と裏金の使途の全体を党として調査し、その結果を委員会に報告するよう求めます。
委員長、お願いします。
○委員長(櫻井充君) 後刻理事会で協議させていただきます。
○山添拓君 岸田派は、十八日、直近三年分の収支報告書を訂正し、二〇二〇年分のパーティー収入など三千五十九万円分を書き加えました。
今回、岸田派で起訴されたのは、二〇二一年に交代した前任の会計責任者です。午前中の質疑では、この交代の際、後任である今の会計責任者に不記載があることは引き継がれず、しかし口座のお金は引き継がれていたと、こういう説明でありました。先ほど、他の議員の質問にもそうお答えでした。
そこで伺うんですが、岸田派は二〇二二年十月と十一月に収支報告書七件訂正しているんですね。当時確認すれば三千万円もの不記載は判明しただろうと思います。なぜ、訂正しなかったんでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 二〇二二年十二月に政策集団の政治資金について様々な指摘があり、また告発も行われました。当時は、この透明性のこの限界ということで、二十万円のこの線についてこれが不適切ではないか、こういったことについて指摘を受けました。党としても、それについてこの調査を行い、そして修正を行った、こういった経緯をたどりました。
○山添拓君 いや、ですから、今回書き加えた三千万円について、なぜそのとき判明しなかったのかと、確認されなかったのかと伺っています。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げました点について指摘を受けて修正を行いました。そして、先ほど来申し上げたように、前の会計責任者がこのパーティー券について誰の紹介か分からない分について別に置いておいた、このことが不記載につながったということを申し上げました。しかし、残高については全て銀行口座に置いてあります。残高は変わっていないということであります。
その点について、今回修正を行うまで、私自身、この報告を受けていなかったということであります。
○山添拓君 これは説明になっていません。
要するに、確認しようとされなかったわけですよ。二二年の修正は、いずれもしんぶん赤旗日曜版が指摘したその直後に指摘された項目だけを訂正したものなんですね。ほかに問題がないかどうか確認するつもりがなかったということです。総理は事務的なミスの積み重ねなどと言われているんですけれども、これは隠してきたと言われても仕方がないと思います。
二〇二二年分の報告書を見ますと、五月十八日に派閥パーティー、宏池会と語る会が開かれ、その後、数回にわたって所属議員側に還流されています。六月は百万円、五百万円、一定の額で還流されています。八月の還流額は議員によってばらばらです。六万円の人、六十二万円の人、百三十四万円の人、四百九十八万円の人など、桁も違います。
総理に伺います。岸田派では、パーティー券の売上げに応じたキックバックはあったんでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほど申し上げたように、パーティー収入につきましては全て銀行口座に入金をしています。口座に存置されており、いわゆる裏金の類とは全く異なるということを申し上げた上で、今の委員の御質問ですが、宏池会としましては、いわゆるキックバックというのではなくして、緩やかな努力目標を設定し、それに対する対応と、そして平素の派閥における活動等を勘案して、寄附という形で所属議員に対して政治団体へこの政治資金規正法にのっとって交付をした、こういったことであります。その際にも、必ず領収書を発行するとともに預金口座を通じております。
宏池会及び所属議員側の政治団体双方の収支報告書に当該寄附の額、これは明確に記載されており、いわゆる裏金の類とは全く異なると考えております。
○山添拓君 今私が伺っているのは、パーティー収入について所属議員側にキックバックがあったかどうかということなんですね。それについて総理は、努力目標を定めてそれぞれの所属議員の状況に応じて戻していたんだと。そういう仕組み、寄附であろうが何であろうが、そういう仕組みをつくってきたということはお認めになるんですね。
十二月の還流額というのは、各議員で百万円とか五十万円とか、定額なんですよ。この傾向、毎年同じで、春と冬は定額で、夏から秋にかけては言わば営業成績を反映するように議員によってばらばらに還流している。こういうのをキックバックって言うんじゃないですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) キックバックという言葉の定義でありますが、少なくとも宏池会として行ってきたのは先ほど説明したとおりであります。先ほど説明したことについて宏池会として行ってきた、このことについては私も承知しておりますし、全て政治資金規正法にのっとって取扱いを行っております。
○山添拓君 私が伺いたいのは、収支報告書の不記載や虚偽記載というのはもちろん大問題です。しかし、今総理が言われたように、こういう仕組みで還流の仕組みを記載していれば何ら問題ないのかという点なんです。キックバック、還流、寄附とおっしゃいますけれども、所属議員側に戻すという仕組みそのものに私は疑問があります。
政治資金規正法上、寄附とパーティー券収入は区別されます。パーティー券はパーティーの対価だから寄附ではないと、今日、総務大臣もお答えでした。そういう理屈ですね。
しかし、キックバックがシステム化されている下では、ノルマを超えた分、総理の言う努力目標を超えた分は自動的に議員側に行くわけですね。戻ってくることになる。そうすると、議員の側にとっては、自らの持ち出しはなく、対価性ゼロでその収入が自分の手元に来るということになります。これ、まさしく寄附なんですよね。本来、収支報告書に書かなければならない寄附だということになると思うんです。この……(発言する者あり)いやいや、そうではなくてですね、パーティーを隠れみのにした脱法的な寄附になっているんではないかと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ちょっと委員の言っている意味がよく分かりません。
先ほど申し上げたように、努力目標を設定をし、それへの対応と、そしてそれぞれの議員の派閥での活動等を勘案した上で寄附をそれぞれのこの政治資金団体に交付をしてきた、こういったことであります。これらは全て政治資金規正法にのっとっております。必ず領収書も取っておりますし、預金銀行口座を通じています。この双方の収支報告書にこれ明確に記載されている、こういったものであります。これは全て政治資金規正法にのっとった対応であると認識をしております。
○山添拓君 いや、私が伺っているのはそういうことじゃないんですよ。
所属議員の側にとっては何ら持ち出しないんですね。何ら持ち出しがないのにパーティー収入から自分のところにキックバックが戻ってくると。パーティー券を購入した人から寄附を受けたのと同じことになってしまうんですよ。しかし、パーティーという形を取れば誰が買ったのかということは示さないですね。二十万円以上にならないと明らかにならない。パーティー券を使うことで、企業、団体が主に買っているパーティー券、その献金の在り方が隠されてしまっているということを私は問題にしています。
で、パーティー券を問題にするのは、派閥の構造、収支の構造にあるんですよ。岸田派の二二年の収入というのは二億二千九百万円です。そのうちパーティー収入が一億八千三百万円、実に八割です。二一年と二〇年はコロナの影響か約六割ですが、それ以前はほぼ七割がパーティー収入です。その多くが、まあ餅代なのか氷代なのかキックバックなのか、還流によって所属議員側に渡っています。岸田派から議員への寄附額が支出に占める割合、二二年六四%、二一年と二〇年は五割前後ですが、それ以前はやはり六割以上です。
派閥は政策集団などとおっしゃるわけですが、実際には派閥の名でパーティー券を売りさばいて所属議員で山分けをする、そういう集金システムにほかならないと思うんですよ。そして、この一枚二万円と言われるパーティー券をたくさん購入できるのは、多くが企業や団体です。企業・団体献金はパーティー券を含めて全面禁止にする、そうして金権腐敗の根を絶つべきではないかと思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 宏池会の対応について御質問をいただいているわけですが、先ほど申し上げたように、パーティー券の収入については、それぞれ緩やかな努力目標を設定しました。緩やかと申し上げているのは、要はノルマを達成しましても、ペナルティーは全く何もないわけでありますし、それぞれの対応と派閥における活動等を勘案してその派閥の方からそれぞれの議員の政治資金団体に対して寄附を行っている、そしてそれについても政治資金規正法に基づいて領収書を取り、全て振り込みで、振り込みを行い、そしてそれぞれの収支報告書に明記をしている、こうした法律に基づいた対応をしていると申し上げています。これは、この企業、団体、企業、団体からのこのパーティー券について努力目標は設けていますが、それと併せてそれぞれの活動についても勘案した上で寄附を行っているという御説明をさせていただいております。
これは、おかしな対応ではない、法律に基づいた対応であると考えています。(発言する者あり)
○委員長(櫻井充君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(櫻井充君) 速記を起こしてください。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 失礼しました。
企業献金団体についてどう考えるかという部分についてお答えいたします。
企業献金団体については、(発言する者あり)企業・団体献金でいいですね、については、長年の議論を経て、現在ではこの政党あるいはこの政治資金団体に対するのみが認められていますが、あれは昭和四十五年の最高裁判決において、これ、会社にも政治資金の寄附の自由が認められているということでありまして、これ、政党がその受取を行うこと自体が不適切なものであると、とは考えておりません。
○山添拓君 企業には参政権はないんですよね。一票に託される民意ではなく、金に物を言わせて政治をゆがめてきたのが企業・団体献金です。
大体、九〇年代の政治改革では政党助成金をつくる代わりに企業・団体献金は禁止するはずでした。それから三十年、自民党が受け取った政党助成金、総額四千四百億円に上ります。加えて企業・団体献金を受け取り、パーティー券で荒稼ぎし、巨額の裏金作りまでシステム化してきたわけです。これは国民に対する二重三重の裏金です。私は返していただきたいぐらいですね。少なくとも今年の受取は辞退されるべきだと思います。
我が党は、政党助成金を廃止し、パーティー券購入を含め企業・団体献金を禁止する法案を国会に提出しました。是非、各党に賛同をいただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。