山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2024年・第213通常国会

イスラエル製攻撃型ドローン 防衛省が導入検討

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
イスラエルによるガザ攻撃について伺います。
今日も、午前中の安保委員会を含めて質疑がされております。
死者が三万人を超えました。ラマダン、イスラム教の断食の時期を迎えて、なお停戦に至らず、南部ラファへの侵攻が懸念される状況です。
昨年十二月十二日の国連総会緊急特別会合では、即時の人道的停戦を求める決議を百五十三か国、国連加盟国の八割の賛成多数で採択しました。反対は米国やイスラエルなど十か国、イギリスやドイツなど二十三か国が棄権しましたが、日本は賛成しました。二月二十日、安保理は即時の人道的停戦を求める決議案を採決に付しましたが、米国が拒否権を行使し否決されました。理事国十五のうち日本を含む十三か国が賛成し、英国が棄権しています。
外務大臣に伺います。日本政府が二つの決議案に賛成した理由をお示しください。

○外務大臣(上川陽子君) 昨年の十月、十二月の十三日、ニューヨーク時間でありますが、十二日ということでありますが、ガザ情勢に関しまして、即時の人道的停戦、人道的停戦、ヒューマニタリアンシースファイアを求める国連総会決議が採択されたところでございます。
我が国は、昨年十二月初頭の戦闘再開以降、ガザ地区の人道状況が更に深刻化していた中におきまして、人道的観点から再度の戦闘休止や停戦を求める声が一層高まっていたこと、また、同決議が、決議案が、グテーレス国連事務総長が、国連憲章第九十九条に基づき発出した書簡を踏まえて、昨年十二月に、九日に採決に付され、我が国も賛成票を投じて、安保理決議案と類似の内容で、投じました、安保理決議案とまさに類似の内容であったこと等を総合的に判断をし、そして賛成票を投じたものでございます。
また、御質問にあります本年二月二十一日、ニューヨーク時間二十日でありますが、国連安保理におきまして、即時の人道的停戦等、人道的停戦は、ヒューマニタリアンシースファイアということでございますが、これを求める決議案が採決に付されました。民間人の避難、保護のための十分な措置がとられないままイスラエルがラファでの軍事作戦を継続すれば、更に多くの犠牲者が発生する惨事となり、人道支援活動がますます困難になることは明らかであったところでございます。
我が国といたしましては、この人道支援活動が可能な環境をいかに確保するか、また、人質の解放につながるような人道的停戦、ヒューマニタリアンシースファイアが速やかに実現をし、そして持続可能な停戦、サステナブルシースファイア、これが実現することを期待をし、こうした考え方に基づきまして、当事者に対しまして、直ちに人道的観点から行動することを求めていたところでございます。
今申し上げた二つの決議案につきましての賛成理由ということで申し上げたところでございます。

○山添拓君 一時的な戦闘の休止を意味するポーズではなく、シースファイアを繰り返し述べられたのは重要だったと思います。
昨年十月の国連総会では、人道的休戦を求める決議を棄権しておりました。また、国会で私ども求めても、停戦という言葉はお使いにならなかったわけです。その後、事態の深刻さが増し、国内外で即時停戦を求める声が高まるのを受けた態度の変更だと思います。これは当然のことだと思います。
この停戦決議を妨害し続けているのが米国です。日本は三月から安保理の議長国でもありますから、米国に対して停戦を求める立場に立つよう求めていくべきだと、これは強く述べておきたいと思います。
ICJ、国際司法裁判所は、一月二十六日、南アフリカが提訴したイスラエルのジェノサイド条約違反について暫定措置命令を出しました。資料をお配りしております。
ジェノサイドを防ぐあらゆる措置をとること、イスラエル軍は殺害や加害行為が行われないよう保証すること、ジェノサイドの扇動を防止し処分すること、また人道支援の提供が可能となる措置をとることなどを内容としています。
これは法的拘束力のある命令であり、大臣も誠実に履行されるべきだと談話を発表されました。現状は誠実に履行されていると言えるでしょうか。

○国務大臣(上川陽子君) まさに、このICJ、ICJの御指摘の暫定措置命令ということでございますが、イスラエルに対しまして、ガザ地区のパレスチナ人との関係において、ジェノサイド、ジェノサイド及びその扇動を防ぐための措置をとること、また緊急に必要とされる基本的サービス及び人道支援を供給することを可能とする措置をとることなどを命じるものと承知をしております。
国連の主要な国際司法機関でありますICJ、この暫定措置命令でございますが、当事国を法的に拘束するものでございまして、まさに誠実に履行されるべきものであると認識をしております。
その上で、暫定措置命令でございますが、命令発出日から一か月以内にこの命令を実施するために講じた全ての措置をICJに報告するよう命じている内容でございます。イスラエルはこの報告をICJに提出したとされているところでございますが、その内容につきましてはICJもイスラエルも公表をしていないと承知をしているところでございます。
いずれにいたしましても、イスラエルの行動がジェノサイドに当たるか、これにつきましてはICJのまさに本案であり、今後審理される事柄でございまして、我が国といたしましては、このICJにおきましての審理、これを注視してまいりたいと考えております。

○山添拓君 いや、その報告は暫定措置命令の内容の一つなんですよ。ですから、履行状況として報告が出されたというだけでは今履行されているとは言えないと思うんですね。
ジェノサイドを防ぐ努力がされているのか、軍としてもそういう対応を取っているのか、この状況についての政府としての認識をお答えいただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君) まさに、今、このイスラエルの行動、まさに暫定措置命令においてどのような行動を取っているのかということについては、これは様々な観点からしっかりと取り組まなければいけないところでございますが、ガザ地区の状況を、刻一刻と変化をしている状況でございまして、連日のように無辜の民間人の方々が、特に子供たち、また女性たち、また高齢の皆様方が亡くなられているという状況でございますので、こうした危機的な状況については深刻に憂慮をしている状況でございます。

○山添拓君 つまり、深刻な憂慮をしなければならない状況は誰がもたらしたのかということだと思うんですね。ですから、誠実な履行など形成されていないと思いますよ。
ジェノサイド条約というのはホロコーストをきっかけに制定されました。ですから、イスラエルの存立に関わります。
ネタニヤフ首相は、ジェノサイドの嫌疑は偽りであるだけでなく言語道断だなどと述べていますが、これはイスラエルも応訴し、反論もした裁判です。その中でジェノサイドの蓋然性が認められ、暫定措置命令が出された。ですから、国際社会の局面が変わったと言うべきだと私は思います。
私は、この今日の事態を昨年十月七日のハマスの奇襲からのみ説明するのは間違いだと思います。もちろん、ハマスの無差別攻撃や民間人の連行は許されません。しかし、それ以前の歴史を無視して語ることもまた許されるものではありません。
一九四七年、国連総会でパレスチナ分割案が採択され、翌年、イスラエルが建国されました。六七年、東エルサレム、ヨルダン川西岸、ガザ地区が占領され、二〇〇七年にはガザ地区の完全封鎖が始まりました。
辻清人副大臣に伺います。イスラエル建国以後、国連でイスラエルによるパレスチナの占領、入植、封鎖、攻撃などを国際法違反と指摘した決議は何件あるでしょうか。

○外務副大臣(辻清人君) 山添委員にお答えします。
イスラエル建国以降、国連で採択された全ての決議の中で議員御指摘の要素を含む決議を網羅的にお答えすることは、正直言って困難です。
しかし、例えば、二〇一六年には、イスラエルによる入植地建設は国際法上の明白な違反であり、二国家解決及び公正で永続的かつ包括的な和平の達成に対する主要な障害であることを再確認する安保理決議が採択されています。
また、国連総会においては、二〇二一年、イスラエルがエルサレムに自国の法律管轄権、行政権を押し付けるために取ったいかなる行動も違法かつ無効であり、いかなる効力も持たないという決意を改めて表明し、イスラエルに対し、そのような違法かつ一方的な措置を全て直ちに中止するよう求める決議が採択されています。

○山添拓君 今、網羅的に述べることは困難と言われた。そのぐらい、数え切れないぐらいあるということですよね。そして、繰り返し指摘をされてきたわけです。
副大臣は、二月二十八日、イスラエル南部クファルアザをオハナ議長と視察された際、ハマスの攻撃を野蛮なテロとした上で、日本とイスラエルはテロを阻止するという大義に取り組んでいく、日本はイスラエルとその大義を支持すると述べられました。在日イスラエル大使館の公式Xが投稿した動画で拡散されました。
先ほど副大臣が答弁された歴史を踏まえて、また今日ガザでおびただしい犠牲が生じている中で、イスラエルによる攻撃に大義があるというのが外務省のお立場なんですか。

○副大臣(辻清人君) お答えします。
我が国としては、イスラエルがハマスの攻撃を受けて、国際法に基づいて自国及び自国民を守る権利を有すると認識しています。同時に、全ての行動は国際法に基づいて行わなければならず、いかなる場合においても、国際人道法の基本的な規範は守らなければならないと考えています。
例えば、子供を含む民間人を無差別に無用に巻き込む攻撃は、国際人道法の基本的な原則に反するものであり、正当化できません。我が国として、イスラエルに対しては、人質の即時解放並びに一刻も早い現地の人道状況の改善及び人道支援活動が可能な環境の確保のため、先ほどからもお話がありました安保理決議第二七一二号、二七二〇号に基づき誠実に行動することを改めて私からもイスラエルに対しては強く求め、また人道支援活動、先ほどからお話に上がっているヒューマニタリアンシースファイアを可能な環境を確保していくように、私からも、人道的な見地から、さきのイスラエル訪問に際しては訴えた次第でございます。

○山添拓君 いや、お答えになっていない。大義があるとおっしゃっていると。それは撤回されるべきじゃないですか。

○副大臣(辻清人君) 私がここで申し上げている大義というのは、自国を国際法上自衛する権利、そして人質を解放するということを講ずという話をさせていただきました。

○山添拓君 ICJの暫定措置命令の後の話なんですよ。大臣、これは同じ認識ですか。大義という言葉を使って支持することができますか。

○国務大臣(上川陽子君) 日本の一貫した主張でございますが、今副大臣が発言したとおり、このハマス等によりますテロ攻撃は断固として非難をすべきものであり、またイスラエルはこのテロ攻撃を受けて、国際法に基づきまして自国及び自国民を守る役割を有すると、こうした日本の一貫した立場、これを踏まえて行ってきたものと、私自身は認識をしております。

○山添拓君 いや、それはやはり改められるべきだと思いますよ。
我が党は、パレスチナ問題については三つの原則を主張してきました。イスラエルが全ての占領地から撤退すること、パレスチナ人に独立国家樹立を含む自決権を完全に保障すること、パレスチナ、イスラエル双方が互いの存在を認め、共存を図ること、この二国家解決は国連や政府の立場でもあると思います。ですから、一方的にイスラエル側に大義を認めることは到底できないと思うんですね。
国連によりますと、二月末時点、ガザでは人口の四分の一、五十七万六千人が飢餓の一歩手前、ガザ北部カマルアドワン病院では、数日間で少なくとも十五人の子供が栄養失調と脱水症状で死亡したと報じられています。二月二十九日朝には、北部ガザ市で、イスラエル軍が支援物資を求める人たちに発砲し、百四人が亡くなり、七百六十人が負傷したといいます。これは、イスラエル軍も実弾で発砲したことを認めています。
大臣は、今日も議論になりましたが、UNRWA、国連パレスチナ難民救済事業機関への資金拠出の再開について、国連の調査を見て検討すると述べています。しかし、その間、支援が滞ることになれば、より多くの命が奪われることになりかねない。それでいいんですか。

○国務大臣(上川陽子君) このUNRWA職員への疑惑については、極めて憂慮をしております。また、UNRWAがパレスチナ難民支援におきまして、この間、大変不可欠な役割を担っていると、そのUNRWA自身が信頼を取り戻し、本来の役割を果たすことができるよう、ガバナンスの強化を含めまして適切な対応について強く求めてきているところでございます。
今、UNRWAへの拠出再開について直ちにと、そうしたお話もございましたけれども、我が国といたしましては、今も、停止してから、国連、またUNRWA自身の機関とも、また関係国とも緊密にコミュニケーションを取りつつ、まずは国連の調査、また第三者による検証、これの積極的な協力をしている状況でございまして、その進捗を踏まえて対応を検討してまいりたいと考えております。
ただ、ガザ地区の情勢は極めて深刻な情勢であるということについては、全く思いを同じくしている国々とも連携をしているところでありますが、その意味では、今、最も食料、また医療等を早期に届ける、またガザ地区の人々一人一人に届けるということが重要であると考えまして、調査結果、これを待つことなく、補正予算、令和五年度の補正予算とは別に、新たに三千二百万ドルの緊急無償資金協力の実施、これを決定したところでございます。
これは、世界の食糧計画を通じた食料の供与、世界保健機関、WHOを通じた医薬品の提供、国連児童基金を通じた衛生用品の配布等を行うものでございまして、目的は今のガザの深刻な状況の危機をしっかりと対応していくということの中で、ガザ地区を含めましたパレスチナ人の人道支援、これについて積極的に継続して取り組んでまいりたいと考えております。

○山添拓君 資金拠出は直ちに再開すべきだと重ねて述べたいと思います。
こうした下で、日本とイスラエルとの間に看過できない問題があります。
安保三文書に基づく大軍拡七本柱の一つ、総額一兆円を投じる無人アセット防衛能力の強化において、イスラエル製ドローンの導入が計画されています。
資料の三枚目を御覧ください。
二種類ありますが、多用途無人機はIAI社のヘロンマークⅡ、小型無人攻撃機は同じくIAI社のポテムL、ポイントブランク、Uビジョン社のヒーロー120、そしてエルビット・システムズ社のスカイストライカー。これ、七機中五機がイスラエル製が選ばれています。
防衛省に伺います。なぜ、イスラエル製の武器を選んだのでしょうか。

○政府参考人(久澤洋君) お答えいたします。
防衛力整備計画においては、多用途UAV及び小型攻撃用UAVを整備することとしており、実機を用いた実証に係る契約を七件締結しておりますが、そのうち五件において、実証に用いられる実機がイスラエル製となっております。
これらはいずれも実証で求める機能、性能を満たす機体でございますし、いずれも一般競争入札を経て、競争性を担保し、最低価格で入札した企業と契約を締結したものでございます。

○山添拓君 落札価格一円のものもあるようですから、確かに安いんですね。
ただ、性能を満たすものというお話でした。小型攻撃用ドローンの入札に当たって防衛省が示したスペックは、例えば、航続距離五キロ、二十キロ、百キロ、そして距離が長いほど爆弾の威力も強いものをという要求性能だったと伺っております。事実でしょうか。そして、これらいずれも自爆型のドローンだと、これも事実でしょうか。

○防衛装備庁 調達事業部長(久澤洋君) 御指摘の二件につきましては、本年一月二十四日、小型攻撃用UAVⅠ型回転翼型の概念実証業務委託及び小型攻撃用UAVⅠ型固定翼の概念実証業務委託の二件の契約でございまして、今般、防衛装備庁と株式会社海外物産との間で一円で契約を締結しているものでございます。
こちらにつきましては、海外物産がその一円という低価格で入札いたしております。それにつきましては、私どもら、会計法令に基づき必要な調査を実施し、要求する内容に適合した履行をなし得ると判断した上で契約を締結したものでございます。
防衛省といたしましては、引き続き、会計法令にのっとり適正な契約事務の実施に努めてまいります。

○山添拓君 入札に応じた企業の中には、イスラエル以外の国のものもあったようなんです。しかし、あえてイスラエル製が複数選ばれております。しかも、この入札は、入札を経た契約は、いずれも今年一月末から二月にかけて行われています。つまり、ICJの暫定措置命令に前後して行われている。
そして、今後、三月中に、今年度予算ですから、三月中に実証実験の、実証の結果を報告を受けていくということも伺っています。現地でイスラエルの会社が実証し、その結果を防衛省に報告するということです。この三月に実証するということはですよ、ガザで実戦に導入して、その結果を報告してくるということが考えられるんじゃないですか。

○政府参考人(久澤洋君) 私どもら、現時点において、そのような実証実験を行われるということは確認しておりません。

○山添拓君 これはやめるべきだと思うんですよ。
ここに挙げましたエルビット・システムズは、伊藤忠商事の一〇〇%子会社、伊藤忠アビエーションと日本エヤークラフトサプライが相互協力のための戦略的協力覚書を結んでいたイスラエルの軍事大手です。
昨年十二月、パレスチナを生きる人々を想う学生若者有志の会が、この契約破棄を求める署名を呼びかけて、一月足らずのうちに二万五千人近くが署名に応じ、抗議の声も広がりました。
伊藤忠商事は、二月五日、二月末でこの契約を打ち切ると発表しています。そして、その理由として、ICJがジェノサイド防止の暫定措置命令を出し、外務大臣がその誠実な履行を求めたことを踏まえて契約を打ち切る判断をしたんだと言っているんですね。
防衛大臣に伺います。
伊藤忠はそういう対応をしたと。日本政府は、イスラエル企業の攻撃型ドローンの導入を続けるんですか。やめるべきじゃありませんか。

○防衛大臣(木原稔君) 一般的にその防衛装備品の取得に当たっては、我が国の安全保障環境を踏まえつつ、その要求性能であるとか、あるいは経費であるとか、維持整備など様々な要素を勘案した上で、我が国の今後の防衛に必要な装備品を総合的に検討するということでありますが、御指摘の多用途UAV及び小型攻撃用UAVについても、今申し上げた様々な要素を勘案して今後決定していくものであり、現時点で特定の国の装備品の取得を、これを予断するものではございません。

○山添拓君 いや、これはやめるべきだと思います。
私は、そもそも専守防衛の下で攻撃用ドローンの導入そのものが問題だと考えますが、しかし、ICJでジェノサイドが指摘されるタイミングでイスラエル製兵器の導入を決め、イスラエルの軍事産業を支える、これは絶対にやってはならないと思います。導入の中止を強く求めて、質問を終わります。

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